小正月針の動かぬ体重計  今長谷 八津未
 目ざめればいつもの景や初茜   松尾 美子 




 女正月ごめんあそばせ夜遊びに  竹下 裕子




 黒豆の色艶やかや老の春  紙谷 しづ子
 坂道を一歩一歩の去年今年  村上  直
 平凡な幸せの味鰤大根  稲積 信子
 寒明の海に立山ゆるぎなし  嶋崎 豊山
 底なしの宙に浮かべり冬銀河  東海 喜美子
 初御空猿のこしかけ太りけり  柳楽 八洲子
 四方山の変らぬ景色味噌雑煮  松本 敏江
 酒蔵の米蒸す湯気や去年今年  溝端 文二
 吉備陵墓淑気の雲をとどめけり    米山 成男  
 山茶花や遠き華燭の鏡掛け  坪倉 明子
 正月の顔して妻とすれちがう  西田 みつを
 御慶から始まる噺にぎわい座  竹下 貞夫



 鳥どちも寝過ごしなるや初身空  川村 節子
 七十の席秒読みに冬うらら  木藤 慎治
 行く年や脚下照顧吟行す  浅倉 良平
 酒瓶に遊ぶ金箔二日かな  廣岡 砂予子
 雪吊りの縄数十本一途かな   水谷 澄子
 冬に入る昭和の終わる原節子  三浦 悦子
 手を合わす一期一会や初日の出  太田 倭文子
 初夢や四句選かと封を切り  中島代志子
 初場所のひいきに見惚れ燗冷まし  青山 敏之
 初夢や二十歳の頃の吾と会いぬ  笛木 昭江

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