頭蓋骨透け見ゆるなり初日の出  石田 剛
 金閣に外語とび交ふ御慶かな  橘髙 辰男
 肩上げの春着の子供銀の鈴  吉野 静




 通販のお節の艶や去年今年  小塚 英子
 玉葱の皮を捲るや初日の出  河合 彰
 雪となり策練る親と子の鴉  塚本 一郎
 新年の射水野に立つ医科薬科  松下 ナミ子
 父母の遥か御空や寒椿     古瀬 房江   




 良きことのあらむ陽のいろ寒牡丹  紀平 吉勝
 晴れた日の童地蔵に雪帽子  佐藤 俊子
 初富士やはるばる傘寿の二人旅  池辺 和絵
 初御空万年筆の青インク  佐々 紀代
 捨てきれぬ家具のはざまに実千両  青木 満
 振り向けばみな過去となり鰤起し  三野 博子
 折り鶴に夢を吹き込み年迎う  八嶋 貞子
 八十八ひと山越えて初笑い    岡本 博三  
 初日燦記紀の国原七彩に  窪本 正行
 去年今年厨にひびく笑ひ声  佐藤 美鈴
 磴百段妻の背に射す初茜  多武 静也
 幼児の強き一文字筆始め  畑 幸子
 よく眠る幸せ運ぶ宝船  眞木 康江



 霜の降る夜のしじまに耳澄ます  上ノ堀 ミツヨ
 古傷の思い出されて柚子湯かな  熊谷 ひさ子
 冬ざれや背中合わせの駅の椅子  八尋 和子
 年酒や昔を語る母のほほ   山根 京子
 深閑と鎌倉五山冬の入る  笹目 玲子
 頑張って五年先まで日記買ふ  高瀬 益子
 看護師は精勤すべき年迎う  新倉 まな
 年始め祈りたきこと一つだけ  松野 一江
 初神楽鈴ふる巫子の片えくぼ      三浦 みよ子   
 遥かなる剣峻峰初景色  橋垣 敏子
 初日の出宇宙の便りほのぼのと  橘 春玎
 均したる一刻馬場の淑気かな  村上 美穂
 本陣の門の表札花八手  宮本 義之
 湯めぐりの下駄音かろし小正月  年清 彰雄

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