作 品 作 者 玄鳥掲載

陰干しの並ぶ革靴土用灸 岡部 榮一 平成24年9月
籠提げて昭和の日暮アッパッパ 岡部 榮一 平成23年9月
昼寝覚枕に草の生えていし 岡部 榮一 平成23年9月
肩車腰にさしたる渋団扇 岡部 榮一 平成23年8月
麦藁や握り鋏の腰のばね 岡部 榮一 平成23年8月
深草の榻の端書誘蛾灯 岡部 榮一 平成23年7月
麦こがし手押しポンプの布袋 岡部 榮一 平成22年8月
ふるさとの浜は素足で歩くべし 岡部 榮一 平成22年7月
紐引いて開く蠅帳昼の風 岡部 榮一 平成22年7月
須磨浦の松の走り根誘蛾灯 岡部 榮一 平成22年7月
銀舎利にアルペンの塩衣更 岡部 榮一 平成22年6月
陶枕や背骨に寄せる海の音 岡部 榮一 平成21年10月
実篤のかぼちやの額や大昼寝 岡部 榮一 平成21年10月
手ぬぐいの漁夫の鉢巻三尺寝 岡部 榮一 平成21年9月
昼寝覚出会いがしらのように耳 岡部 榮一 平成21年8月
深川の魚屋の蠅取りリボンかな 岡部 榮一 平成21年8月
金魚玉根岸の里の四つ目垣 岡部 榮一 平成21年8月
打ち水にひと際匂うカレーかな 岡部 榮一 平成20年9月
輪の横の立て札眺む黒日傘 岡部 榮一 平成20年8月
ブランチや物の弾みの溝浚 岡部 榮一 平成20年8月
見霽かす海の関門白日傘 岡部 榮一 平成20年7月
門司港の香具師のバナーナ夏帽子 岡部 榮一 平成20年7月
夏衣「博多夜舟」に舞う蛇の目 岡部 榮一 平成20年7月
線香花火の終わりのやなぎ母の耳 岡部 榮一 平成19年11月
風鈴の路地には白い線路かな 岡部 榮一 平成19年10月
更衣我が抽斗を開けるコツ 岡部 榮一 平成19年8月
我が死後の枕の凹み花火の夜 岡部 榮一 平成17年10月
階段のじゃんけんの声江戸切子 岡部 榮一 平成16年11月
金魚玉試着室より大空へ 岡部 榮一 平成15年9月

わが妻は絶滅危惧種大昼寝 土肥 幸弘 平成21年10月
子規ならば据りよからむ青磁枕 土肥 幸弘 平成21年10月
陶枕の夢一炊に足らざりき 土肥 幸弘 平成21年10月
てつぺんは舌もて掬ふかき氷 土肥 幸弘 平成21年9月
人間といふ不器用な魚泳ぐ 土肥 幸弘 平成21年9月
七人の敵みな逝きぬ豆ごはん 土肥 幸弘 平成21年8月
畳踏むことのうれしく夏座敷 土肥 幸弘 平成21年8月
悪食の旅の果てなる水中り 土肥 幸弘 平成21年7月
季節はづれのマスクの街に帰りきぬ 土肥 幸弘 平成21年7月
水中花月に満ち引く枕元 土肥 幸弘 平成21年6月
留守番のまだ日の高き冷やし酒 土肥 幸弘 平成20年8月
晩成といふ語古りたり渋団扇 土肥 幸弘 平成20年8月
違へしはいつステテコの前うしろ 土肥 幸弘 平成20年8月
祭神の名は読みづらしところてん 土肥 幸弘 平成20年7月
ステテコが出て夕刊を受取りぬ 土肥 幸弘 平成20年6月
黄ばみたるものを選びしまむし酒 土肥 幸弘 平成19年10月
本棚に遺品のごとしサングラス 土肥 幸弘 平成19年10月
五百羅漢と思ひし一人汗を拭く 土肥 幸弘 平成19年9月
見覚えある顔が鏡に昼寝覚 土肥 幸弘 平成19年9月
足裏の反りうつくしきプールかな 土肥 幸弘 平成19年9月
湖渡る雨脚早しところてん 土肥 幸弘 平成19年9月
牛どん二杯食ひ図書館に大昼寝 土肥 幸弘 平成19年7月
人生いま昼寝の刻ぞ一壺天 土肥 幸弘 平成19年7月
反骨も肋骨もあり菖蒲風呂 土肥 幸弘 平成19年6月
後の客にうな重の上先に来し 土肥 幸弘 平成19年6月
噴水に白き腕が出て真昼 土肥 幸弘 平成19年6月
浮いて来い戦艦大和浮いて来い 土肥 幸弘 平成18年10月
げんこつをしまひ忘れし冷奴 土肥 幸弘 平成18年9月
豆飯やネクタイ解くに手間どりし 土肥 幸弘 平成18年9月
凹面鏡に写る目鼻や祭過ぐ 土肥 幸弘 平成18年8月
寿限無寿限無遠泳の子の頭かな 土肥 幸弘 平成18年7月
長生きのための備蓄やまむし酒 土肥 幸弘 平成18年7月
蛍籠昼のつづきに朝が来て 土肥 幸弘 平成18年7月
扇風機際どき風を送りくる 土肥 幸弘 平成18年7月
大粒の雨降って来し洗ひ鯉 土肥 幸弘 平成18年7月
小上りの深川飯や金魚玉 土肥 幸弘 平成17年9月
人を待つ雨のプールの水輪見て 土肥 幸弘 平成17年8月
交番の留守の鏡の大花火 土肥 幸弘 平成17年8月
Tシャツを帆にバンジョーが沖に出る 土肥 幸弘 平成17年8月
三輪車乗りつけて買ふ氷菓子 土肥 幸弘 平成17年8月
ステテコや薄くなりたる向う脛 土肥 幸弘 平成17年7月
灯が入りて水音変わる貴船川床 土肥 幸弘 平成17年7月
鮒鮨や壁に水面の陽のゆらぎ 土肥 幸弘 平成17年6月
わが留守に来てゐし友の大昼寝 土肥 幸弘 平成16年9月
犬掻きの娘が浴衣着て現れし 土肥 幸弘 平成16年9月
洗濯機の猫に浮輪を投げてやる 土肥 幸弘 平成16年9月
赤ん坊を別の裸が受取りし 土肥 幸弘 平成16年9月
妻の尻一打して置く蝿叩き 土肥 幸弘 平成16年8月
ステテコがデイリースポーツ取りに出し 土肥 幸弘 平成16年8月
水鉄砲撃たれるための水運ぶ 土肥 幸弘 平成16年8月
寝て起きて昼寝のあとの午後長し 土肥 幸弘 平成15年10月
蝿叩き下げ夕刊を取りに出る 土肥 幸弘 平成15年8月
背中掻くもの見当たらず夏座敷 土肥 幸弘 平成15年8月
ところてん詰まりし頭走るべし 土肥 幸弘 平成15年7月
顔未だ濡らさずにゐるプールかな 土肥 幸弘 平成15年7月
あり合せの手足をつけし昼寝覚 土肥 幸弘 平成15年7月
漱石の遺品の中の香薷散 土肥 幸弘 平成15年6月
別の汗かくため熱きシャワー浴ぶ 土肥 幸弘 平成15年6月
をんな一人出来ぬ夫の汗のシャツ 土肥 幸弘 平成14年10月
旬の過ぎたるお化け屋敷の日除かな 土肥 幸弘 平成14年10月
効きごろといふ色に澄み蝮酒 土肥 幸弘 平成14年9月
モロゾフのリボンがつかむ扇風機 土肥 幸弘 平成14年8月
逆立ちの足の不意打ち金魚玉 土肥 幸弘 平成14年8月
更衣して予備校はずる休み 土肥 幸弘 平成14年8月
イエスより痩せし肋や水中り 土肥 幸弘 平成14年8月
水筒の酒をそそげり震洋忌 土肥 幸弘 平成13年10月
ステテコにはみ出す毛脛震洋忌 土肥 幸弘 平成13年9月
海底を徒ゆく跣足震洋忌 土肥 幸弘 平成13年9月
浴衣の紐のごとき時間や会議室 土肥 幸弘 平成13年8月
後藤夜半の句に惚れ込みし水中り 土肥 幸弘 平成13年8月
水飯に噎ぶ男の鼻毛かな 土肥 幸弘 平成13年8月
街の灯よ飛び込み台に板残り 土肥 幸弘 平成13年7月
逗子に来て水着の臍を見て帰る 土肥 幸弘 平成13年7月
股に挟む遠出して来し夏布団 土肥 幸弘 平成13年7月
トラックを足で支へて三尺寝 土肥 幸弘 平成12年9月
パラソルやものを言ふとき傾けて 土肥 幸弘 平成12年8月
押し花の重しとなりし扇風機 土肥 幸弘 平成11年11月
蝿叩それほど強く打たずとも 土肥 幸弘 平成11年11月
土佐焼酎ゴッホの耳を肴とし 土肥 幸弘 平成11年8月
刎頚の友なり水虫見せ合ひて 土肥 幸弘 平成11年8月
一円硬貨の真顔に遇ひし箱眼鏡 土肥 幸弘 平成11年7月
八ツ当りの撒水ホースわれに対く 土肥 幸弘 平成11年7月
悪女のごとねずみ花火に惚れられし 土肥 幸弘 平成11年7月
逢ふて来し單衣の皺の多きこと 土肥 幸弘 平成11年7月
枝豆のようなお人も踊りの輪 土肥 幸弘 平成10年11月
デカンショのへなへな花火城へ飛ぶ 土肥 幸弘 平成10年11月
タバコケースに納まるほどの水着かな 土肥 幸弘 平成10年10月
英霊もひとつ年取る岐阜提燈 土肥 幸弘 平成10年9月
冷酒にまたモノクロの沖が来る 土肥 幸弘 平成10年9月
近松を観てうどん屋に汗の音 土肥 幸弘 平成10年9月
昏れなづむ絵金の町や夏の風邪 土肥 幸弘 平成10年9月
ビールで飲む薬空港ロビー混む 土肥 幸弘 平成10年7月
日傘廻す齢にあらねど逢瀬かな 土肥 幸弘 平成9年10月
プールより出て雨宿りして居たる 土肥 幸弘 平成9年10月
背広着て帰る水泳監視員 土肥 幸弘 平成9年9月
昭和の世のすでに黄ばみし書を曝す 土肥 幸弘 平成9年9月
ずぶ濡れの竹藪ビール冷え過ぎし 土肥 幸弘 平成9年9月
靴下の穴が上むく夏料理 土肥 幸弘 平成9年9月
立泳ぎしてマルセイユなどを見る 土肥 幸弘 平成9年8月
蝿叩き構えたる手に蝿とまる 土肥 幸弘 平成9年8月
片足立ち試しておりぬ夏座敷 土肥 幸弘 平成8年11月
弟を率いてゆきし捕虫網 土肥 幸弘 平成8年10月
夫を呼ぶ水着濡らさぬ深さより 土肥 幸弘 平成8年8月
昼寝ざめ今何歳でありしかな 土肥 幸弘 平成8年8月
飛ぶ気などなきメモに置く蠅叩 土肥 幸弘 平成8年8月
雲を見て飲むラムネ瓶さかしまに 土肥 幸弘 平成8年8月
薬飲みし水を水中花にもやる 土肥 幸弘 平成8年1月
手花火や火薬の匂ふひとと寝る 土肥 幸弘 平成8年1月
蠅入らず中なる蝿の逃げ出せず 土肥 幸弘 平成7年11月
夜店の裏の電気コードの無籟かな 土肥 幸弘 平成7年9月

元輔の女目がなきかき氷 榎本 太郎 平成24年12月
西を向くパラボナアンテナ心太 武尾てる子 平成24年11月
痰切り飴きざむリズムや軒風鈴 小佐野祐一 平成24年11月
打水やオリンピックの如飛ばし 榎本 太郎 平成24年11月
ビール干す割り勘という間柄 横山 冬都 平成24年11月
黒板が板に戻りし夏休 小川 紫翠 平成24年11月
沖合に空母停泊蠅叩く 倉方 稔 平成24年10月
里帰りやめて風鈴買いにけり 年清 彰雄 平成24年10月
箱庭の中にゐる如スカイツリー 井上美知子 平成24年10月
聞き上手静かに送る団扇風ス 尾﨑トキ子ス 平成24年10月
指揮棒にシンバル一打更衣 神野 多根 平成24年9月
子につきし一つの嘘や髪洗ふ 森内 洋子 平成24年9月
蚊帳吊手見るたびうかぶ父の肩 竹下 貞夫 平成23年11月
闇に浮く二上山や大花火 村上 直 平成23年11月
晩鐘や端居の脚を組み替える 木村 修 平成23年11月
品書の上に貝殻海の家 尾崎登紀子 平成23年11月
扇風機むかしは浮名流しけり 石田 剛 平成23年11月
認知症戯れにして水羊羹 畠山 桂泉 平成23年10月
ビストロの窓の日覆北野坂 樋口登代子 平成23年10月
抽斗に母親を出す虫払い 川辺智惠子 平成23年10月
出迎えの父のご自慢夏帽子 猿田 恭子 平成23年9月
原っぱに土管がなくて昼寝覚 木村 修 平成22年12月
伸びきったオルゴールの螺子帰省の子 木村 和芳 平成22年12月
白靴や父の日記の上七軒 樋口 進二 平成22年12月
江の島の灯の点り初む夏料理 加藤 健 平成22年11月
清水の舞台あふぎてかき氷 橘髙 辰男 平成22年11月
青簾声かけて行く路地暮し 今井 芳江 平成22年11月
ハンモックに詩集残されチェ・ゲバラ 安田 循子 平成22年11月
夏帽子四人乗せたる乳母車 小佐野祐一 平成22年10月
蓋開きしピアノの上の夏帽子 大西 史子 平成22年10月
死顔は見られたくなし白重 渡利 寿美 平成22年8月
終戦の全ては海の青さかな 河合 彰 平成21年12月
プールの水抜かれ今日より文芸部 後藤 理勢 平成21年12月
あご紐の伸びきっている麦藁帽 加藤 幸子 平成21年12月
夏休み返し損なうパンケーキ 竹下由里子 平成21年12月
畳屋の風鈴一つ鳴りにけり 猿田 潤一 平成21年11月
江の電の線路を渡る白日傘 佐藤 俊子 平成21年11月
束子買うついでに打ちし蠅叩 樋口 進二 平成21年11月
洗い髪衣返して着る夜の 松田眞喜子 平成21年11月
弟は子分で虫籠もたされる 俵田美恵子 平成21年10月
風鈴を吊るす古釘この辺り 窪本 正行 平成21年10月
B型の妻と半生冷やつこ 橘髙 辰男 平成21年10月
赤ん坊田植の母へ身を反らす 四方 花紅 平成21年9月
衣更え朝の階段二段跳び 島倉 春美 平成21年9月
武甲山の肋がみえる麦こがし 田村竹次郎 平成21年8月
向ひ合ふ老舗それぞれ水を打つ 井上きくを 平成20年11月
井戸の蓋開いているなり昼寝覚 水田雅吉子 平成20年11月
打水やアロエの鉢の倒れ癖 樋口登代子 平成20年10月
石蹴りの輪が描かれおり夏休み 吉村 寛子 平成20年10月
古書店の蛍雪時代麦こがし 鈴木 令子 平成20年10月
簾戸入れてついでに藤を敷き独り 澤谷 文代 平成20年10月
蚊遣火やお化け屋敷の舞台裏 井上きくを 平成20年10月
天井の扇風機の影シェイクスピア 宮川壽美子 平成20年10月
不揃いの三鬼の髭や暑気中り 若草 千尋 平成20年10月
立ち漕ぎの自転車の群更衣 橘高 辰男 平成20年9月
ナイターの首位入れかはるキス途中 井上きくを 平成20年9月
抜路地の相合井戸や豆ご飯 樋口登代子 平成20年8月
散水のホースまたいで回覧板 吉野 貞子 平成19年12月
浜へ出る島に路地より水着の子 藤田美栄子 平成19年11月
家ぬちに水脈光らせて貝風鈴 植田 信子 平成19年11月
ポンペイの廃墟の中の日傘かな 井上きくを 平成19年11月
家ぬちに水脈光らせて貝風鈴 植田 信子 平成19年11月
遠泳や視界不良の誕生日 小川 紫翠 平成19年11月
黒髪を畳に流し昼寝覚 小池紀代美 平成19年10月
羅やならの小川の夕間暮れ 鈴木 令子 平成19年10月
姥捨のはなしとなりて蝿叩 上山 晶子 平成19年10月
歯みがきのチューブのヘコみ更衣 橘高 辰男 平成19年9月
少年期という森ありてハンモック 遠目塚信子 平成19年9月
夏衣脱ぐや幾千羽のカモメ 水田雅吉子 平成19年9月
風鈴の音を掴みて吊るしけり 平井知志子 平成18年12月
遠花火葬で従兄に逢いにけり 上山 晶子 平成18年12月
スカートが木登りをする夏休み 斎藤あき子 平成18年11月
宿浴衣遊び心を着てしまふ 越野 雹子 平成18年11月
朝刊を大きくいろげ夏座敷 志水 つい 平成18年11月
サングラス外して道を尋ねけり 畑中 弘 平成18年10月
風鈴の音をつかみて吊しけり 平井知志子 平成18年10月
女房は不思議な魚類梅漬ける 大西 昇月 平成18年10月
らっきょうが漬かる頃合い僧が来る 岡田 珠絵 平成18年10月
父ほどの男とパソドブレの汗 本岡 敬子 平成18年9月
カレーから恋の芽ばえるバンガロー 大倉 操 平成18年9月
大津絵の一筆箋や葦粽 花坂千江子 平成18年8月
嵐去り江戸風鈴の音軽し 猿田 潤一 平成17年12月
投網打つ四万十川の船料理 樋口 進二 平成17年12月
ペダル漕ぐズボン引っ張る膝の汗 坂口 周 平成17年12月
はらからや部屋の四隅の蚊帳釣り具 松谷眞佐子 平成17年12月
パイプから戦後のけむりサングラス 井上きくを 平成17年11月
十戒を守り通して梅を干す 植田 信子 平成17年11月
兄妹下駄にすわって遠花火 宮川壽美子 平成17年11月
島風に鬢のほつれや貝風鈴 横山 洋子 平成17年10月
水を打ち耳を済ませて客を待つ 山岡ゆう子 平成17年10月
振袖の衣桁の陰の三尺寝 橘高 辰男 平成17年10月
ハンカチや空路いきなり海の上 井上きくを 平成17年10月
水打って代官山のてぬぐい屋 太田 鈴子 平成17年10月
父と子の昆虫採集ずぶ濡れに 水田雅吉子 平成17年10月
ゼブラゾーンモボで鳴らせし夏帽子 樋口登代子 平成17年9月
はちきんの集まりゐたり溝浚え 樋口 翠人 平成17年8月
先ず夫が掛かる蝿取りリボンかな 西田由紀子 平成16年12月
駅舎から団扇ぽこぽこ出てゆけり 伊藤 保子 平成16年12月
黙祷の間も素麺流れきし 本岡 敬子 平成16年11月
草笛の青きを盛りし器かな 岡田美佐枝 平成16年11月
昼飯は老舗の箱鮨船場汁 高田多栄子 平成16年10月
ひとり酒シャリだけ残る穴子鮨 長谷川純彦 平成16年10月
衣更え時間はいつも海の上 横山 久香 平成16年9月
香薷散寿命のつきた脱水機 和田志解子 平成16年1月
むきになり坂登りくる夏帽子 鈴木 弘子 平成15年12月
噴水の頂にある一呼吸 なぎの・みつを 平成15年11月
打水や人の気配の暖簾越し 浮谷 栄子 平成15年11月
扇風機の倒れておりし映画村 西田由紀子 平成15年11月
昼寝覚め同じところに母がいる 津嘉山 宏 平成15年11月
本能寺二軒となりの蜜豆屋 袴田比朗士 平成15年11月
立版古の三下り半は白紙にて 新井 裕 平成15年10月
アイスティーケーキにアガサクリスティー 佐藤とし子 平成15年10月
子らはしゃぐ噴水すでにはしゃぎおり 大倉 操 平成15年10月
兵児帯のアナーキストや浮人形 安田 循子 平成15年9月
黒日傘石段上がり父と会ふ 紀平 節子 平成15年9月
西山の茜にはやく川床灯る 鈴木 茂実 平成15年8月
駅前にソフトクリーム落としけり 出 日 人 平成14年12月
貸しボート漕ぐ寝ちがえた首のまま 井上美智子 平成14年12月
籐椅子のあつまってくる夜明けかな 井上美智子 平成14年12月
戦争に暮れし青春蠅叩き 盛 みち子 平成14年11月
毛馬暮色土手に草矢を飛ばしけり 新井 裕 平成14年10月
丼に残る米粒昼寝覚 水上 栄子 平成14年10月
じゃんけんのちょきまだ出来ず麦藁帽 簑島 啓子 平成14年10月
吊皮の男の手首蚤取粉 安田 循子 平成14年10月
ニッポンの旗が振られて冷奴 進藤三千代 平成14年10月
水打ってちょっとしたもの売っており 岡田 珠絵 平成14年10月
もう一度バザーへ戻る夏帽子 熊田ひとし 平成14年9月
いくさ傷もつ男なり素手素足 八木 風衣 平成14年1月
呼び鈴や昼寝半ばのチャップリン 河面 哲子 平成13年12月
風鈴の百の音色や南部富士 鈴木あきを 平成13年11月
卑弥呼には及ばぬ嵩の髪洗う 植田 信子 平成13年11月
マンボーと泳ぎたくなる水族館 中村 子鶯 平成13年11月
木に登る遠くに見える撒水車 小倉 喜郎 平成13年10月
クラクション鳴らされている浴衣かな 竹中小夜子 平成13年10月
遠花火音来るまでは飢えに似て 植田 信子 平成13年10月
則天去私男どうしの夏座敷 前山 厚子 平成13年10月
天井を見て喋りおり籐枕 中村 子鶯 平成13年10月
夏帽子風立つ道を若狭まで 志水 つい 平成13年10月
金魚売り渇いた街をぬらしてく 横山 冬都 平成13年10月
更衣夫の匂いの箪笥かな 藤 理勢 平成13年9月
草笛や逢魔が時の蒲団部屋 安田 循子 平成13年9月
永久のごとく潜水服と扇風機 水田雅吉子 平成13年9月
すててこが生中継の前に立つ 坂本 宣子 平成13年1月
S盤のノイズ夜店のリンゴ飴 鈴木 令子 平成12年12月
働きし手籐椅子に載せており 山田 みゆ 平成12年12月
人を好きになりしは二度目水中花 竹内ゆき子 平成12年12月
氷屋ののこぎりの音先斗町 灰原美奈子 平成12年12月
百畳をサンダルさげて通り過ぐ 井上美智子 平成12年11月
地雷などあるはずのなし砂日傘 八木 風衣 平成12年11月
ガリバーの靴を揃えるプール番 吉野 静 平成12年11月
先客の香水匂う試着室 佐々木艶子 平成12年11月
荒海や花火のあとに残る星 小川 紫翠 平成12年11月
階段は水着売場の真下なり 伊藤 保子 平成12年10月
しばらくは蔵の匂いの夏布団 志水 つい 平成12年10月
よきことのありし浴衣を叩き干す 山崎冨美子 平成12年10月
一族に父無くて夏料理かな 倉持 淑子 平成12年8月
アイスクリームなめる全員喪服着て 袴田比朗士 平成12年8月
砂日傘たてて一家を構えけり 井上きくを 平成11年12月
香水に猫を溶かしている真昼 本岡 敬子 平成11年11月
社会部の窓に揚がりし遠花 新家 保子 平成11年11月
出奔の夏掛けと会う波止場かな 海老原泰雪 平成11年11月
伊豆の旅プールサイドでとどとなる 小池紀代美 平成11年10月
磯野家が住んで居そうな青簾 岡田 克子 平成11年10月
歌詠みや小説書きや昼花火 安田 循子 平成11年10月
ぬぎすてる闘争心や汗のシャツ 前田 政子 平成11年10月
天花粉落下途中の植木鉢 水田雅吉子 平成11年10月
帰省せしピンクの携帯電話かな 熊田ひとし 平成11年10月
羅の人がとなりに座りたる 袴田比朗士 平成11年10月
香水や博物館に漂へる 鈴木 弘子 平成11年9月
風鈴の鳴るたび海が近くなる 永岡 小枝 平成11年1月
汗くさき学校に兎殖えている 石田  剛 平成10年12月
点滴の管のまつわる夏布団 亘 余世夫 平成10年12月
夏休み最後の昼風呂猫洗う 宮川壽美子 平成10年12月
船の酔いすこしのこりて夏料理 志水 つい 平成10年12月
金魚売指に二つの金指輪 宗光 永治 平成10年11月
座布団に赤子の眠る夏座敷 井上きくを 平成10年11月
死ぬために医者にかかりぬ夜干梅 新家 保子 平成10年11月
軟らかき母とぶつかる走馬灯 越野 雹子 平成10年11月
ストローを恋駆けあがる水着かな 本岡 敬子 平成10年10月
絶筆や父の濡らせし蛍籠 岡田美佐枝 平成10年10月
山盛りのえんどうご飯豆のしわ 瀬山 賤女 平成10年9月
夫想うでもなく午後のアイスティー 猿田 恭子 平成10年9月
果てしなき距離かも知れず氷店 水田雅吉子 平成10年9月
足うらのざらりとプール開きかな 熊田ひとし 平成10年9月
裸子のいくぶんおんならしくなる 横山 冬都 平成10年9月
ひげも剃り爪も切りけり更衣 袴田比朗士 平成10年9月
住宅展裸の父がでてはいる 大西 昇月 平成10年8月
シュークリームのように妻ゐる夏布団 袴田比朗士 平成10年8月
勉強もクラブも恋も夏休み 猿田 恭子 平成9年11月
甲冑に傷ありありと汗冷ゆる 安井 史朗 平成9年11月
夏休み方程式が一人居る 池田 良子 平成9年11月
海へ出て笑いころげる夏帽子 松尾 美 平成9年11月
夏痩の学校の鯉指を噛む 宮川壽美子 平成9年11月
恋仇の耳朶きれい夏の風邪 植田 信子 平成9年10月
日傘さし泳がぬ人が橋の上 佐々木艶子 平成9年10月
水打って先ずまんじゅうが届きけり 井上美智子 平成9年10月
昼寝覚めすこし伸びたる手足かな 斉藤志げ子 平成9年9月
夏帽をななめに名画通りかな 植田 信子 平成9年9月
キャンプ場の料理当番犬洗う 大西 昇月 平成9年9月
冷房や右も左も知らぬ人 小川 紫翠 平成9年9月
草取りや猫の仕草で虫はらう 石原 芳子 平成8年11月
探鳥はTシャツ選ぶ感覚で 石塚さくら 平成8年11月
夏座敷車輪模様のキウイかな 井上きくを 平成8年11月
目薬のとなりにチーズ冷蔵庫 上山 晶子 平成8年10月
犇めいて駱駝がいるよ夏の風邪 澤谷 文代 平成8年9月
摩耶夫人も聖母マリアも素足なり 木村美智子 平成8年9月
脚折ってたたむ卓袱台遠花火 山崎冨美子 平成7年12月
浴衣剥がすあお青と山引き寄せて 石田 剛 平成7年11月
夏痩せて頑固に日課守りをり 安井 史朗 平成7年11月
風鈴を吊るした釘を上向ける 伊藤喜久子 平成7年11月
ランチどき隅にビールと老人と 椎野 正郎 平成7年11月
昼寝さめ広い畳がありにけり 袴田比朗士 平成7年11月
二階からそのまま道へサングラス 橋田 鹿江 平成7年10月
戦中を生き来し力棚田植う 細川 房美 平成7年10月
おしぼりのひねりが強し夏座敷 磯崎 籐子 平成7年10月
蓴採り見えなまぬるき雨の中 佐藤むつみ 平成7年9月
逞しく老いて雑草処刑する 前原 大仁 平成7年9月
落書きの戸で閉められる海の家 幣 ふじの 平成7年1月
眼帯の少女に憑きし葦の笛 岡田美佐枝 平成7年1月

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