作 品 作 者 玄鳥掲載

海の子にありし盥の日向水 岡部 栄一 平成24年10月
浮く壜に石投げる子ら島の夏 岡部 栄一 平成24年7月
跳び箱にありし波音夏の昼 岡部 栄一 平成23年8月
おもちや箱からみんな出てこよ麦の秋 岡部 栄一 平成23年7月
押入の行李の隙間麦の秋 岡部 栄一 平成23年7月
びつくり箱の中の空つぽ夏来る 岡部 栄一 平成23年6月
黒板に少年の空夏来る 岡部 栄一 平成23年6月
炎昼や少し斜視なり達磨の目 岡部 栄一 平成22年9月
鼻下に挟む鉛筆夏兆す 岡部 栄一 平成22年6月
麦の秋盥の中の子守唄 岡部 栄一 平成21年7月
解体の小さな舞台夏の夕 岡部 栄一 平成20年9月
行く夏のケーブルカーの傾斜かな 岡部 栄一 平成19年12月
花街の炎帝黒い猫走る 岡部 栄一 平成19年11月
流木を押して晩夏の沖をみる 岡部 栄一 平成19年11月
欲しいものに妹と汽車麦の秋 岡部 栄一 平成19年8月
麦秋やラインダンスが海に出る 岡部 栄一 平成13年9月
空き瓶があきびんを産む麦の秋 岡部 栄一 平成13年8月
炎昼や鉄の匂いの水溢る 岡部 栄一 平成12年11月
炎昼や自白のように杭が立つ 岡部 栄一 平成12年10月
炎昼や開け放たれし羅生門 岡部 栄一 平成10年10月
黙祷の耳のうしろの麦の秋 岡部 栄一 平成10年8月
木琴や夏の終りの蟻の列 岡部 栄一 平成8年12月
担保無し少年に夏始まれり 岡部 栄一 平成8年10月
六月の男に深い地の割目 岡部 栄一 平成7年10月

八方に伸び八月の白き道 土肥 幸弘 平成20年9月
出征のままの肩章麦の秋 土肥 幸弘 平成20年7月
俎板のひびく下町夏は来ぬ 土肥 幸弘 平成20年6月
水たまりいくつも跳んで夏了る 土肥 幸弘 平成19年10月
粥噴くを待つ夏暁の音のなか 土肥 幸弘 平成19年9月
半夏生鴨居の母が若くなる 土肥 幸弘 平成19年7月
ぐわんがらがら物干竿が落ちて夏 土肥 幸弘 平成17年7月
夕薄暑アンクルトリスの首廻り 土肥 幸弘 平成17年6月
海越えて楽器集まる晩夏かな 土肥 幸弘 平成16年9月
妻の栞の「久女」の後を読む晩夏 土肥 幸弘 平成15年10月
天丼に乗りたる海老の痩せて夏 土肥 幸弘 平成15年8月
麦秋や鱗あるもの湖濁し 土肥 幸弘 平成15年8月
突放の貨車麦秋のなか通る 土肥 幸弘 平成15年8月
口ひげの先に汁つく麦の秋 土肥 幸弘 平成15年7月
口中に白い恋人初夏の湾 土肥 幸弘 平成13年8月
歳時記に目高忌のなき大暑かな 土肥 幸弘 平成11年11月
枕辺の畳の焦げ目明易し 土肥 幸弘 平成11年8月
鉄棒に突き出す顋五月来る 土肥 幸弘 平成11年7月
炎昼や影に後れて人うごく 土肥 幸弘 平成10年10月
目の前に人の背のある暑さかな 土肥 幸弘 平成8年10月
憶えなき名刺が胸に明易き 土肥 幸弘 平成8年10月
点滅のデジタル時計明易き 土肥 幸弘 平成8年9月
麦秋の詰っておりし洗濯機 土肥 幸弘 平成8年7月
イボイボの健康スリッパ五月来る 土肥 幸弘 平成8年7月
炎昼へ出る一本の棒となり 土肥 幸弘 平成7年8月

炎帝と五分に張り合ふ?かな 鈴木あきを 平成24年12月
トルソーの新の待針夜の秋 宮下久美子 平成24年12月
乳飲み子の口のかたちの暑さかな 木村 修 平成24年11月
思い切り夏を蹴りたる逆上り 鈴木あきを 平成24年11月
幾本も傘はみ出して夏に入る 大坪芙美子 平成24年10月
六月の渇きや樺美智子の忌 石川 暘子 平成24年10月
民宿の湯船のアヒル麦の秋 樋口 進二 平成24年9月
五右衛門風呂底から乾く麦の秋 石田 剛 平成24年9月
短夜や硯の海の無限なる 太田 鈴子 平成24年9月
元興寺の天平甍夏兆す 奥田 慶子 平成24年8月
鯉雨画斎夏の厠に菩薩さま 朝倉 良平 平成23年12月
三角形の頂点尖る大暑かな 畠山 桂泉 平成23年12月
梅雨の明け笊にいっぱい銀の匙 宮下久美子 平成23年11月
栞紐どこにも行かぬ涼しさよ 石川 暘子 平成23年11月
今昔を映す淡海の大暑かな 辻  町子 平成23年11月
船底の貝掻き落とす漁夫の夏 田ア 千草 平成23年10月
花街に夏の設え切り通し 辻  町子 平成23年10月
箸袋に記す駅の名麦の秋 吉野 静 平成23年10月
男らの一膳飯屋夏に入る 田ア 千草 平成23年9月
寺田屋の五月の畳うらばしご 井上美知子 平成23年9月
六月のピアノ鳴るとき森の中 村田 悦子 平成23年9月
沈香の煙り机の初夏に置く 田渕夜州子 平成23年9月
耳元で髪を切る音夏近し 中島 好光 平成23年8月
赤煉瓦倉庫の屋根や晩夏光 上ノ堀ミツヨ 平成22年12月
「駅鈴」の嗄れたる音色隠岐の夏 三宅 雅子 平成22年11月
人一人通る階段晩夏光 遠目塚信子 平成22年11月
先客の鼻緒むらさき夏の寺 神野 多根 平成22年10月
麦秋や逃げ回る児の蒙古斑 石田加津子 平成22年9月
藁葺の国宝楼門夏きざす 多武 静也 平成22年9月
薄暑光天衣短かき阿修羅像 稲葉 末江 平成22年9月
ガラス吹く頬の弾力夏兆す 島倉 春美 平成22年9月
おっぱいのときはつかのま麦の秋 鈴木美保子 平成22年8月
街薄暑空気抜けたるバロン・デセー 島倉 春美 平成22年8月
サーファーの胸のロザリオ夏の果 小川 文子 平成21年11月
六月の森耳たぶのやわらかき 東  霊女 平成21年10月
夏立つやジーンズ姿のヒップライン 佐々 紀代 平成21年8月
炎昼や介護認定申請書 猿田 恭子 平成20年12月
長崎夏本を抱えて水際へ 山内 宜子 平成20年11月
釘箱に残りし夫や麦の秋 野間 成子 平成20年10月
信子への短い手紙夏きざす 遠目塚信子 平成20年9月
夏立つや課外学習指導員 津子 平成20年8月
ギリシャ船のデッキのコック神戸初夏 窪本 正行 平成20年8月
赤子にもその家の匂い夏きざす 片山 宣子 平成20年8月
吉野山の陀羅尼助丸夏兆す 今井 紋子 平成20年8月
音楽室にバケツが二つ麦の秋 進藤三千代 平成20年8月
洗剤を継ぎ足している半夏生 竹下由里子 平成19年11月
モルヒネを飲むタイミング夜の短 村瀬 恵美 平成19年10月
浮世絵のキセル持つ手の涼しかり 畑中 弘 平成19年10月
破れ樋のモールス信号梅雨に入る 樋口 進二 平成19年9月
霧笛楼のコック佇む晩夏かな 上山 晶子 平成19年1月
一生をひっつめ髪の母涼し 桑島 國 平成18年12月
夕涼や子と諳んじる星座の名 安田 循子 平成18年12月
秋近し剣士募集の立看板 塩谷 和子 平成18年11月
小走りのおばちゃん朱夏の天満橋 橘 辰男 平成18年10月
寺町に白い教会半夏生 小佐野祐一 平成18年10月
電球の上の埃や明早し 後藤理勢谷 平成18年9月
保健室のランドルト環麦の秋 松谷眞佐子 平成18年9月
相席の青年の髭聖五月 松谷眞佐子 平成18年8月
灼けそうな歯科医の赤いポルシェかな 出 日 人 平成17年11月
封書からハーブの香り夜の秋 桝室 杏花 平成17年11月
畳屋の針の耀く立夏かな 田村竹次郎 平成17年8月
予報士のシャツの胸元夏に入る 樋口 進二 平成17年7月
ハーレーの重低音や梅雨明ける 長谷川純彦 平成16年11月
空き部屋に貼紙のあと半夏生 畠山 良子 平成16年10月
原っぱの花いちもんめ五月くる 小川 文子 平成16年9月
くすり酒納戸に匂う梅雨入りかな 熊田ひとし 平成16年9月
象の糞ゆたかに園児らの五月 新保 吉章 平成16年9月
真っ先に胎児が覚める夏未明 後藤 理勢 平成16年8月
麦秋のどこか身体に旗の音 進藤三千代 平成16年8月
夏果ての母屋に踏み台増えにけり 荻野 美保 平成16年1月
押入の腹筋マシン夏の果 橘高 辰男 平成15年12月
薪能シテが消えゆく晩夏の海 倉持 淑子 平成15年11月
水無月の水の音する万華鏡 倉持 祐浩 平成15年11月
仰向けの犬飼い主の五月病 西田由紀子 平成15年9月
朱夏を来し少女駿馬の眸して 植田 信子 平成14年12月
百畳に足裏散らばる寺の夏 跡治 順子 平成14年12月
炎熱の絵金まつりが誕生日 水田マンボー 平成14年11月
特急の禁煙席や半夏生 浮谷 栄子 平成14年11月
髪切ってヘップバーンの夏に入る 水上 栄子 平成14年9月
ペンキ塗りたてペリカンに風五月 松谷眞佐子 平成14年9月
焼鳥の串の焦げつく半夏生 新井  裕 平成14年8月
少年や晩夏は納屋のかたちして 新井  裕 平成13年12月
まっ白な犀が泳げり夏の風邪 坂本 宣子 平成13年12月
夏が行くレントゲン室のみだれ籠 小川 文子 平成13年11月
給料日集金が来て夏至が来る 後藤 理勢 平成13年10月
右折して地図も廻せり麦の秋 坂本 宣子 平成13年9月
シーソーに株式新聞夏立ちぬ 小川 文子 平成13年8月
当分は人間で居る麦の秋 岡田美佐枝 平成13年8月
目薬の後の手さぐり夜の秋 中村 弘子 平成12年12月
ぽっかりと耳の老いたる夏盛り 大石 孝作 平成12年12月
夏の夜のトランペットと迷い猫 九鬼 重子 平成12年10月
麦秋の寺のブランコ錆におう 井出 栄子 平成12年10月
スリッパの裏の感触夕薄暑 梅田 恵子 平成12年9月
麦秋や銃弾の跡二の腕に 袴田比朗士 平成12年9月
地下街にイエスキリスト夏の果て 山内 宜子 平成12年1月
古時計猛暑にふたつ多く鳴る 山口 雅美 平成11年12月
麦の秋覆面パトカー謀議中 四方 花紅 平成11年12月
炎帝や荒ゴミに出す電気椅子 本岡 敬子 平成11年12月
真夏日の繋がる朝の大踏み切り 石田  剛 平成11年11月
夏は来ぬ音楽室は三階に 島倉 春美 平成11年9月
初夏の卵をすべる醤油かな 坂本 宣子 平成11年8月
荷造りの尻がぶつかる麦の秋 海老原泰雪 平成11年8月
麦秋の沖にまっ赤な陣羽織 岡田美佐枝 平成11年8月
身をよじり燃えゆく写真夏の果 猿田 恭子 平成10年11月
手ですること足でしている暑さかな 泉  陽子 平成10年11月
酒煙草止めて髭伸ぶ麦の秋 坂本 勝子 平成10年10月
踊り場のような空間半夏生 下野 栄子 平成10年10月
父といる七月七日の屋台かな 伊藤 保子 平成10年10月
ブラウスが風をはらむや聖五月 進藤三千代 平成10年8月
み佛に種痘のあとや麦の秋 岡田美佐枝 平成10年8月
夏深し男の肋に似し水系 植田 信子 平成9年12月
二階から物落ちてくる夜の秋 井上美智子 平成9年12月
夜の秋占いコーナー店じまい 小川 文子 平成9年12月
揚げものにどぼっとソース麦の秋 桝室 和子 平成9年9月
取り入れし干し物の嵩麦の秋 新家 保子 平成9年9月
ガイドブックの頁が折れている晩夏 新家 保子 平成9年1月
月涼し畳屋が出て音たてる 水田雅吉子 平成8年11月
はや晩夏地図の折り目にセロテープ 浅木とき子 平成8年11月
親しみはのりしろに似て夏の夕 植田 信子 平成8年10月
麦の秋ヘリコプターの影を踏む 上野 菊女 平成8年9月
がらんどうの一年二組麦の秋 中村 弘子 平成8年8月
にわとりの横顔とおる麦の秋 岡崎 正子 平成8年8月
本棚にある脱臭剤五月病 坂本 宣子 平成8年8月
亡父の句に会いし茶席や夜の秋 大賀 華文 平成8年1月
学校の廊下の匂い夏おわる 熊田ひとし 平成7年12月
一弾も撃たずに果てし兵の夏 新保 吉章 平成7年12月
靴脱いで上へあがりし夏はじめ 伊藤風見男 平成7年10月
屋根裏に光りの届く麦の秋 上野 菊女 平成7年9月
飯粒で封書閉じけり麦の秋 山崎冨美子 平成7年9月
蹠は地をつかむもの夏来たる 倉持 祐浩 平成7年9月
きしと折る便箋二枚立夏なり 倉持 祐浩 平成7年8月

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