作 品 作 者 玄鳥掲載

三国志夜を無尽に紙魚走る 岡部 榮一 平成24年8月
蝉の穴ぼこぼこ洛中洛外図 岡部 榮一 平成23年10月
昼過ぎの濡れたる糶場揚羽蝶 岡部 榮一 平成23年9月
まくなぎを連れて無頼の三輪車 岡部 榮一 平成23年9月
後ろ手に閉める扉や蟻地獄 岡部 榮一 平成22年9月
蟇跳んでドスンと影を移すかな 岡部 榮一 平成21年10月
水浸かる志功の女青葉木莵 岡部 榮一 平成21年9月
源氏名の紙魚に喰はれてをりしかな 岡部 榮一 平成21年9月
ががんぼや三分写真の丸い椅子 岡部 榮一 平成21年8月
取れそうで取れぬ訛や羽抜鶏 岡部 榮一 平成21年8月
弟のような棒杭蜻蛉生る 岡部 榮一 平成21年7月
空蝉に土間の明るさありしかな 岡部 榮一 平成20年9月
蟾蜍山羊座A型てふ星座 岡部 榮一 平成20年8月
兵隊はおもちゃに限る時鳥 岡部 榮一 平成20年7月
首傾ぐヴィクターの犬夏近し 岡部 榮一 平成20年6月
母犯し沖へ沖へと夏の蝶 岡部 榮一 平成12年9月
船虫散る乗り換え駅の時刻表 岡部 榮一 平成9年12月
鏡売場の真昼にありし蟻地獄 岡部 榮一 平成8年11月
大鋸屑の匂っておりし蝉時雨 岡部 榮一 平成8年11月

銀河飛ぶ蛇が解けてゆく時間 土肥 幸弘 平成21年9月
蛇消えし鏡の前に残る帯 土肥 幸弘 平成21年9月
刑事来て金魚の素姓尋ねける 土肥 幸弘 平成21年9月
スナイパーとなりて久しき蟇 土肥 幸弘 平成21年9月
ナイフとフォーク並べ金魚の皿を待つ 土肥 幸弘 平成21年8月
ぼうふらを飼ふベランダの金魚鉢 土肥 幸弘 平成21年8月
大仰に動きて蟾の向き変へる 土肥 幸弘 平成21年8月
夏つばめ影振り切つて反転す 土肥 幸弘 平成21年8月
文豪の部屋に飽きたるきらゝ蟲 土肥 幸弘 平成21年7月
生きのびたることを詫びつつ蝮酒 土肥 幸弘 平成21年6月
投げられて思わず受けし蟇 土肥 幸弘 平成20年9月
ときどきは留守となりをり金魚鉢 土肥 幸弘 平成20年9月
機嫌よき金魚が雲をつゝきおり 土肥 幸弘 平成20年8月
首振って思案決まらぬ羽抜鶏 土肥 幸弘 平成20年8月
相席の男虎魚と皮剥と 土肥 幸弘 平成20年7月
酒代の不如意つづきや蛇の衣 土肥 幸弘 平成20年7月
エプロンが子を呼んでゐる蚊食鳥 土肥 幸弘 平成20年7月
優曇華や電燈に笠ありしころ 土肥 幸弘 平成20年6月
日に透けて飛びたそうなり蝸牛 土肥 幸弘 平成19年8月
母の夢に咲きし優曇華散るころか 土肥 幸弘 平成19年8月
ぼうふらの水に思案の顔写る 土肥 幸弘 平成19年8月
乱歩邸揺らして過ぎる黒揚羽 土肥 幸弘 平成19年8月
ひと雨欲しい孑孒の住む古バケツ 土肥 幸弘 平成19年7月
離陸するとは思へざる羽抜鶏 土肥 幸弘 平成18年11月
折れた首すぐ立て直し羽抜鶏 土肥 幸弘 平成18年9月
蟇つかぬことなど問はれをり 土肥 幸弘 平成18年9月
はんざきのつるむ真昼や水匂う 土肥 幸弘 平成18年9月
転ぶとき見し斑猫の待ってゐし 土肥 幸弘 平成18年8月
羽抜鶏のごと突撃の兵走る 土肥 幸弘 平成18年8月
まず首を伸して羽抜鶏起ちぬ 土肥 幸弘 平成18年8月
たましひのときどきもどる羽抜鶏 土肥 幸弘 平成18年8月
四羽ゐて一羽離れて羽抜鶏 土肥 幸弘 平成18年8月
船蟲を数へ始めてやめにけり 土肥 幸弘 平成18年6月
蚊のつぶれし跡ある古文書拝しけり 土肥 幸弘 平成18年6月
羽抜鶏お前が先に跳べといふ 土肥 幸弘 平成17年11月
蚊のつぶれし跡ある古文書拝しけり 土肥 幸弘 平成17年10月
三井寺の鐘の吐きたる藪蚊かな 土肥 幸弘 平成17年9月
掴まるものなくて鯰の浮いて来し 土肥 幸弘 平成17年9月
潜水艦浮く蜘蛛の囲の真ん中に 土肥 幸弘 平成17年7月
テンガロンハットに目高すくひきし 土肥 幸弘 平成17年7月
水馬思案のたびに流さるる 土肥 幸弘 平成17年6月
下町の空の電線蚊食鳥 土肥 幸弘 平成16年9月
空蝉や振って受取る宅急便 土肥 幸弘 平成16年8月
転勤や舟虫に似し部下のゐて 土肥 幸弘 平成16年6月
油虫仕留めし修羅場見られたる 土肥 幸弘 平成14年10月
いつまでも鱝になりゐし子が一人 土肥 幸弘 平成15年11月
はんざきや遅刻常習犯の妻 土肥 幸弘 平成15年11月
飯食って金魚見ている日曜日 土肥 幸弘 平成15年10月
くちなはになる決心の帯の丈 土肥 幸弘 平成15年9月
蟭螟やルビ読みづらき神代紀 土肥 幸弘 平成15年6月
水を出でしはんざきに昼古びたる 土肥 幸弘 平成15年6月
ごきぶりのLLサイズ妻眠る 土肥 幸弘 平成14年9月
郭公や隣の椅子に足あづけ 土肥 幸弘 平成14年9月
般若心経暗んじており蟻地獄 土肥 幸弘 平成14年9月
ぼうふらの孑が沈みて孒が浮く 土肥 幸弘 平成14年8月
耳噛めば大山椒魚落ちて来し 土肥 幸弘 平成14年8月
羽抜鶏蹤きゆく影の後れがち 土肥 幸弘 平成14年7月
キルケゴール食ひたる紙魚の艶のよき 土肥 幸弘 平成14年7月
紙わるき三鬼の句集蚤跳べり 土肥 幸弘 平成14年7月
羽抜鶏夕日が喉につまりたる 土肥 幸弘 平成13年9月
主賓某ごきぶりのごと登壇す 土肥 幸弘 平成13年8月
北空に星生まれつぐ蟻地獄 土肥 幸弘 平成13年8月
百畳に蟻一匹の真昼かな 土肥 幸弘 平成13年8月
夜の眼ひらきておらむ蟻地獄 土肥 幸弘 平成13年7月
鱧さばきゐる板前の御輿胼胝 土肥 幸弘 平成13年7月
また会ひし心得顔の道をしへ 土肥 幸弘 平成12年10月
転生に望みはあれど蟇 土肥 幸弘 平成12年9月
目つむりて腹にいちもつ羽抜鶏 土肥 幸弘 平成12年9月
野を曲がる貨車毛虫より不器用に 土肥 幸弘 平成12年8月
蟻の列ドミノ倒しにとはゆかず 土肥 幸弘 平成11年12月
退屈な蟻来て歩く広辞苑 土肥 幸弘 平成11年12月
青空へながき助走の羽抜鶏 土肥 幸弘 平成11年12月
諍ひが日課老婆と羽抜鶏 土肥 幸弘 平成11年11月
頼まれごと三つ溜れり水すまし 土肥 幸弘 平成11年8月
旬には早きお化け屋敷に蚊が鳴けり 土肥 幸弘 平成11年7月
舟蟲やチャップリンの靴横歩き 土肥 幸弘 平成11年7月
灯取虫紙の音して掃かれけり 土肥 幸弘 平成10年10月
目まとひに手を振り色恋沙汰ならず 土肥 幸弘 平成10年10月
ぼうふらや昭和は何年までありし 土肥 幸弘 平成10年8月
したたかな金蠅ソース瓶舐めて 土肥 幸弘 平成10年8月
ごきかぶりホテルの聖書より出でし 土肥 幸弘 平成10年8月
午後は雨優曇華の咲く夢二館 土肥 幸弘 平成10年8月
亀の子の首伸びきって歩き出す 土肥 幸弘 平成10年8月
百年の居留守のごとし蝉しぐれ 土肥 幸弘 平成9年10月
かなぶんの好きな遊びをしてやりぬ 土肥 幸弘 平成9年9月
恐龍の夢を見てゐし羽抜け鶏 土肥 幸弘 平成9年9月
頭振って首立てなおす羽抜鶏 土肥 幸弘 平成8年10月
母は優曇華父にぶたれてわれ産みし 土肥 幸弘 平成7年10月

ライオンの檻を抜けたる黒揚羽 藤川 圭子 平成24年11月
でで虫のようよう月に届きけり 俵田美惠子 平成24年10月
蟇言わずに済ますことのあり 木村 修 平成24年10月
あめんぼう引越してゆく隣の子 竹下由里子 平成24年10月
蟻地獄迷わず蟻の助っ人す 竹下 貞夫 平成24年9月
プレッツェルの鉄の看板夏燕 石田加津子 平成24年9月
あめんぼう女がポンと手をたたく 藤川 圭子 平成24年9月
金串に錆びし鮎うつ峡の里 植田 早苗 平成23年12月
棟梁の爆睡五分蝉時雨 渡利 寿美 平成23年11月
持ち時間まだ少しあり蛍飼ふ 横山 冬都 平成23年8月
大空に死にゆく蝉を放ちけり 佐藤 美鈴 平成22年11月
鳳蝶石組荒き狼煙台 畠山 桂泉 平成22年11月
少年のみんみん蝉になる時間 太田 鈴子 平成22年11月
油虫すべて家内に任せけり 渡利 寿美 平成22年10月
蟇畦に小石の積まれたる 宮下久美子 平成22年10月
教室に目高が殖える月曜日 渡辺 淳子 平成22年10月
揚羽蝶森蘭丸の死地に消ゆ 橘髙 辰男 平成22年10月
蟻の巣へついて行く気の観察期 松田眞喜子 平成22年10月
一匹のはぐれし蟻を見てゐたり 紀平 節子 平成22年10月
帝陵の奥より翔てり黒揚羽 森野 成信 平成22年9月
高階や城と向き合う鮎の膳 大西 史子 平成22年9月
郭公の天秤皿にふっと乗る 東  霊女 平成22年9月
夏つばめひと息に裁つ紳士服 豊田 幸枝 平成22年8月
油虫叩いたあとの歯痛かな 松尾 美子 平成21年12月
囮役つとめし鮎の焼かれけり 鈴木あきを 平成21年11月
燕の子巣立ちし車庫にスポーツカー 横山 久香 平成21年10月
螢の夜父を誘いに引き返す 阪口 周 平成21年10月
ほうたるや闇やはらかき明日香村 安田 循子 平成21年10月
本堂を抜けて夏蝶須磨の浦 溝端 文二 平成21年9月
夫の留守蟻の行列見ておりぬ 奥田 慶子 平成21年9月
でで虫や雨の匂いの裏出口 林  芳子 平成21年9月
浮舟の返歌なり紙魚払う 窪本 正行 平成21年1月
車掌出て蝉に手を振る無人駅 松橋みつえ 平成20年11月
でで虫や絵本のような町を旅 千住 晶子 平成20年11月
饅重の特上にする四畳半 八木 風衣 平成20年11月
みんみんやオムレツは二度跳び上がる 枡室 杏花 平成20年11月
ときどきは身体を抜けてゆく蛍 石田 剛 平成20年11月
蟻地獄のぞけばめっぽう明るい海 大西 昇月 平成20年11月
兜虫もつれて男くさきかな 横山 冬都 平成20年10月
おおい父よ尺蠖虫を見かけたか 石田 剛 平成20年9月
引き直す路の白線初つばめ 平井知志子 平成20年8月
花鳥賊や島に二軒の定食屋蝉 田村竹次郎 平成20年6月
空蝉を振れば夜汽車の音がする 大西みどり 平成19年12月
千匹の蝉だまらせに来るのは誰 石田 剛 平成19年12月
メルカトル図法で描きし蟻地獄 石川 晹子 平成19年11月
掬われて別れ別れの金魚かな 畑中 弘 平成19年11月
天ぷらは江戸前穴子屋形船 伊藤 保子 平成19年11月
忘れいし童話のつづき竹煮草 木寅 信雄 平成19年10月
失言は青空のせい天道虫 小倉 喜郎 平成19年10月
鱧食って寝込みを襲うかも知れず 下野 栄子 平成19年10月
腐草蛍となる川ぞいの旅人宿 安田 循子 平成19年10月
風呂敷の母の遺言青葉木菟 横山 洋子 平成19年9月
水上の能楽堂や夏つばめ 松谷眞佐子 平成19年9月
太郎冠者みたいな男初鰹 石川 晹子 平成19年8月
夕暮れは金魚溺れる振りをする 石田 剛 平成18年11月
恋がたき彼の世で待たせ蝸牛 石田 剛 平成18年10月
みずうみを使い切ったる夏つばめ 豊田 幸枝 平成18年10月
円相やカタカナで鳴く時鳥 田渕夜州子 平成18年10月
遠郭公かあさんの爪切ってます 宮川壽美子 平成18年9月
寄居虫や息吹き返す蛍光灯 なぎのみつを 平成18年7月
木登りの足が下りくる蝉時雨 尾崎トキ子 平成17年12月
盗塁が決まり激しき蝉時雨 上山 晶子 平成17年12月
水瓶は目高の国でありにけり 小佐野祐一 平成17年10月
蝉の羽化今日の時間のゆるく過ぐ 山口 雅美 平成17年10月
蛍火や船弁慶を舞い納む 安田 循子 平成17年10月
ひろしまや水母が海を押し上げる 植田 信子 平成17年10月
ががんぼや妻の背中をかいており 津嘉山 宏 平成17年9月
対岸はシベリアなるぞ羽抜鶏 石田 剛 平成17年9月
羽抜鶏正午のニュース始まりぬ 伊藤 保子 平成17年9月
石棺のヒエログリフや黒揚羽 安田 循子 平成17年8月
老鶯や火口に石の落ち続く 鎌坂 銀猿 平成16年11月
子と歩く長き竹林朝の蝉 加藤 すが 平成16年11月
図書館の蚊に喰われたる未亡人 石田 剛 平成16年11月
田の泥を少し失敬つばくらめ 梅田 恵子 平成16年11月
羽抜鶏全き卵生みにけり 井上きくを 平成16年10月
箱書きを頼まれていし鮎の宿 岡田美佐枝 平成16年10月
ほうたるや覚えて近くなりし道 志水 つい 平成16年10月
かたつむり近所歩くに道問うて 本岡 敬子 平成16年9月
指先の金気の匂い蟇 竹下由里子 平成16年9月
葭切や足を結わえし赤い糸 安田 循子 平成16年9月
舟虫の親しや季語と知りてより 原 サカエ 平成16年1月
つり革を三つ移動す行行子 竹下由里子 平成15年12月
名にしおふ逢坂山の落し文 金子八重子 平成15年12月
いっぴきの蝉でありけり蝉時雨 伊藤 保子 平成15年11月
蝉しぐれ今日は何匹死んだかな 前山 厚子 平成15年11月
秋篠の寺のやぶ蚊に刺されけり 西田由紀子 平成15年10月
沢蟹が土間に来て飯ふきこぼる 加藤 すが 平成15年10月
水馬の水をジャンボが離陸する 石田 剛 平成15年10月
雨の木に螢を吊し日ぐれかな 袴田比朗士 平成15年10月
洋皿に目高の泳ぐモネの庭 安岡 園 平成15年9月
青葉木莬階下で兄の声がする 小倉 喜郎 平成15年9月
天井の蜘蛛を見ている嗽かな 阪口 周 平成15年9月
焦螟や欠伸上手の新生児 小川 文子 平成15年9月
どこからの真水の匂ひ蛇の死よ 横山 冬都 平成15年9月
郭公へ牛が応へて牧の朝 坂本 勝子 平成15年8月
四万十川のゴリの佃煮鳴きにけり 大西 昇月 平成15年7月
掛け替えし志功の女仏なめくじら 四方 花紅 平成14年11月
いくつもの蝉穴があり休肝日 横山 冬都 平成14年11月
蝿生れて竹輪の穴の不思議かな 佐薙 佳子 平成14年9月
夫といて今日二匹目の蚊を叩く 澤井 美鈴 平成14年9月
大勢に囲まれている目高かな 井上美智子 平成14年9月
木が二本残る団地の雨蛙 袴田比朗士 平成14年9月
居つづけの蚊のついてくる枕かな 坂本 鯨子 平成14年8月
熱帯魚のミュールや渋谷道玄坂 猿田 恭子 平成13年11月
羽抜鶏世界遺産のはしっこに 坂本 宣子 平成13年11月
人間がころがっており蝉時雨 大西 昇月 平成13年11月
狂はねばをみなとなれず黒揚羽 木村美智子 平成13年11月
孑孑の浮くを見とどけ銀行へ 新井 裕 平成13年10月
優曇華や机の角で頭打つ 前山 厚子 平成13年9月
中陰や長身の蛇泳ぎおり 小川 紫翠 平成13年9月
くちなわの逃げゆくほかは真昼かな 志水 つい 平成13年9月
夕空に消える揚羽や壇の浦 植田 信子 平成13年8月
耳かきで大きくしたり蟻地獄 堀井 国乃 平成13年8月
ジレンマのなか通りすぐ羽抜鶏 横山 冬都 平成13年8月
蟻地獄地下駅にある消火栓 小川 紫翠 平成13年1月
朝刊を全部広げて蝉しぐれ 坂本 勝子 平成12年12月
出目金のフリルに風を貰いけり 八木 風衣 平成12年12月
声帯をもたぬが威厳かぶと虫 鈴木あき子 平成12年12月
油蝉降水量の棒グラフ 坂本 宣子 平成12年12月
ネクタイを締める集まり夏燕 鯨井 孝一 平成12年11月
大統領プーチンに似し羽抜鶏 坂本 宣子 平成12年11月
青蜥蜴天気予報のよく当たる 小倉 喜郎 平成12年10月
蚊をたたく力残れり大僧正 鈴木 弘子 平成12年10月
蛇の衣箪笥に姉を閉じ込めし 木村美智 平成12年10月
かわほりや通夜の家まで下駄履きで 岡田美佐枝 平成12年10月
天眼鏡失せかわほりの貌をする 木村美智子 平成12年9月
哲学の道で別れしかたつむり 大西 昇月 平成12年8月
蚊が生まれ畳の上で死ににけり 大西 昇月 平成12年7月
紙魚のきし英和辞書から君の文 新家 保子 平成12年1月
湘南は青いセロファン火取虫 竹下由里子 平成11年12月
羽抜鶏ぜんまい仕掛けでありしかな 木村美智子 平成11年12月
ぼうふらの水干あがるにあと二日 山田 京 平成11年11月
天上に羽蟻千匹爆心地 岡田美佐枝 平成11年11月
早引けをして砂浴びの羽抜鶏 本岡 敬子 平成11年10月
羽抜鶏の水のむさまに薬飲む 阪口 周 平成11年10月
蛍や鋏はどこと尋ねられ 宮川壽美子 平成11年10月
出勤や鬼門の方に蟻の列 小川 紫翠 平成11年10月
耳たぶに死がやわらかし青葉木菟 本岡 敬子 平成11年9月
鱏泳ぎ王位継承始まりぬ 本岡 敬子 平成11年9月
空海も竜馬も紙魚に喰われけり 岡田美佐枝 平成11年9月
蟇くちびる噛んで何とする 横山 冬都 平成11年1月
うち笑い糠蚊吸いたるらしき喉 石原 芳子 平成10年12月
陶芸のはじめに蛇をつくりけり 大西 昇月 平成10年12月
蜂の木にともかく梯子かけにけり 袴田比朗士 平成10年12月
常客の守宮も鳴いて夜のニュース 安田 循子 平成10年11月
衣脱いできしくちなわとすれ違う 熊田ひとし 平成10年11月
また会ったね蝉の激しさ眩ゆさ 安部 徹 平成10年10月
わっと舟虫海原の傾きし 木村美智子 平成10年10月
夏燕テニスコートに乳母車 松谷眞佐子 平成10年9月
人力車の男の細身夏つばめ 井出 栄子 平成10年9月
蝉時雨思わず臍を隠しけり 竹下由里子 平成9年12月
はんざきや真顔の人とすれちがう 木村美智子 平成9年12月
優曇華や二階の壁が熟れており 石塚さくら 平成9年11月
ドアーからまず火取虫入りけり 坂本 宣子 平成9年11月
蛇打って一と日の力使ひきる 横山 冬都 平成9年11月
鮎掛けや思わぬ方に昼の月 志水 つい 平成9年10月
岩魚焼く青年の手にカットバン 片岡 禎子 平成8年12月
夏つばめバターナイフにパンの屑 志水 つい 平成8年12月
いくつもの授業の音や蝸牛 宮川壽美子 平成8年10月
鱧の皮なにか嬉しき妻の留守 木村美智子 平成8年10月
羽抜鶏とってかえして鳴きにけり 本岡 敬子 平成8年9月
行行子男の死体まず上がる 本岡 敬子 平成8年8月
声ほどの大きさ持たず蝉の腹 須山あけみ 平成7年12月
ほうたるの出る所なり下駄箱は 石塚さくら 平成7年11月
熱帯魚の縞もよう着て大通り 坂本 宣子 平成7年10月
夜汽車みて目高と思う神戸かな 岡田美佐枝 平成7年10月
蛇を見た話や友が少女めく 村越 ふみ 平成7年9月
夏つばめ体育館に声ひびく 永岡 小枝 平成7年1月

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