作 品 作 者 玄鳥掲載

千夜一夜の半ばの八十八夜かな 岡部 栄一 平成24年6月
はるはあけぼの眠れる母の樹を抱きに 岡部 栄一 平成24年3月
啓蟄や裁縫箱に骰ふたつ 岡部 栄一 平成24年3月
目借時ぞろりと揃ふ大百科 岡部 栄一 平成23年6月
料峭や入江に太る真珠貝 岡部 栄一 平成22年4月
天井に吊るす折鶴寒明ける 岡部 栄一 平成22年4月
海に出る八十八夜の昇降機 岡部 栄一 平成21年7月
春昼の薬缶の肩は叩くべし 岡部 栄一 平成21年6月
啓蟄の乳白色の湯槽かな 岡部 栄一 平成21年4月
新幹線と桜前線関が原 岡部 栄一 平成20年5月
京洛のまるたけえびす春の雪 岡部 栄一 平成20年5月
起きたついでに飯食っておく花の昼 岡部 栄一 平成19年5月
青春に似る八十八夜の箱の中 岡部 栄一 平成8年8月

花どきの散かつている海馬かな 土肥 幸弘 平成21年5月
コントラバス運び込まれし春の寺 土肥 幸弘 平成21年5月
春の夜の船の浴槽あふれをり 土肥 幸弘 平成21年4月
啓蟄や噴煙赫く染まりたる 土肥 幸弘 平成21年4月
はやばやと死にしヒロイン春の宵 土肥 幸弘 平成21年4月
嘘喰鳥の串を肴に春深し 土肥 幸弘 平成20年5月
壜詰の臓器が棚にの春の昼 土肥 幸弘 平成20年4月
踏切に線路がなくて春の昼 土肥 幸弘 平成20年4月
啓蟄や身に付けしものみな光り 土肥 幸弘 平成20年3月
啓蟄やスクランブルの交差点 土肥 幸弘 平成19年4月
料峭の寺の月釜磴高し 土肥 幸弘 平成19年4月
掘る穴は大きめが良し春の昼 土肥 幸弘 平成19年3月
あくび出て頬杖崩る春愁ひ 土肥 幸弘 平成18年6月
この春も環状線の輪を出でず 土肥 幸弘 平成18年6月
去来の墓に屈めば膝にくる余寒 土肥 幸弘 平成18年5月
春宵やアルキメデスの湯があふれ 土肥 幸弘 平成17年5月
料峭や骨の形に人の寝し 土肥 幸弘 平成16年6月
春の夜の律儀な空気清浄器 土肥 幸弘 平成16年5月
五百円出して鐘つく彼岸かな 土肥 幸弘 平成16年4月
花過ぎの診察室の紙コップ 土肥 幸弘 平成15年6月
身に添ひし八十八夜の手足かな 土肥 幸弘 平成14年7月
啓蟄や村から町へ電話線 土肥 幸弘 平成14年4月
跳ぶほどもなき水たまりとんで春 土肥 幸弘 平成14年3月
啓蟄や納戸に妻の気配して 土肥 幸弘 平成13年5月
春の港路地に生活の匂ひして 土肥 幸弘 平成13年4月
漂着の舟に大魚の骨と春 土肥 幸弘 平成11年5月
啓蟄やベッドの下の小抽斗 土肥 幸弘 平成12年5月
補聴器のにやにや笑ふ春の宵 土肥 幸弘 平成11年5月
啓蟄や耳が集まる駅広場 土肥 幸弘 平成11年4月
リラ冷えの白いテーブル新車展 土肥 幸弘 平成9年11月
ふとんの中にふとんの匂う暮春かな 土肥 幸弘 平成8年7月
春昼やイエスは痩せて壁にあり 土肥 幸弘 平成8年5月
煙草買って老婆起しぬ目借どき 土肥 幸弘 平成7年7月
夕刊に少し間のある春の午後 土肥 幸弘 平成7年7月
卒業写真も神戸の春も古りにけり 土肥 幸弘 平成7年6月
啓蟄や据りのわるき椅子に在り 土肥 幸弘 平成7年6月
地震以後の長き二月も終りけり 土肥 幸弘 平成7年5月
二か月ぶりのガスの火美しき早春 土肥 幸弘 平成7年5月

しまい湯の鏡にシャワー夏隣 瀬山 賤女 平成24年8月
箱の中に箱を納める弥生かな 岡田 克子 平成24年8月
銭湯の振り子時計の日永かな 太田 鈴子 平成24年8月
靴をぬぐ八十八夜の畔の道 東  霊女 平成24年8月
啓蟄や木槌で膝を叩かれる 木村 修 平成24年7月
食卓に何も残さぬ余寒かな 石田 剛 平成24年7月
つま先の余寒「月刊ボディビル」 木村 修 平成24年6月
小あがりの土間のつっかけ春の宵 瀬山賤女イ 平成24年6月
啓蟄や町工場の安全旗 和田恵美子 平成24年6月
啓蟄や鉛筆で搔く土踏まず 宮川壽美子 平成24年6月
啓蟄や螺子にあそびの文机 横山 冬都 平成24年6月
ポニー乗るヒゲ面の人春うらら 真壁 操 平成24年5月
ワイシャツで通りのめし屋春隣 樋口 進二 平成24年4月
春闌けしロールキャベツの爪楊枝 石田 剛 平成23年8月
龍天に昇り大地に父帰る 眞木 康江 平成23年7月
春闌ける二の腕白き若女将 竹下 貞夫 平成23年7月
晩年や疑いぶかく春が来る 小川 紫翠 平成23年7月
踏台に見ゆる絶景花の昼 進藤三千代 平成23年7月
釣糸の張りて早春の日を反らす 三野 博子 平成23年6月
啓蟄や伊能忠敬実測図 佐藤 勝 平成23年6月
補助輪の取れたる声や夕永し 斎藤 雅宣 平成22年8月
コンパスで描く真円春暮るる 後藤 理勢 平成22年8月
啓蟄の東京タワーから降りる 石田 剛 平成22年7月
行く春や手機の音の本調子 跡治 順子 平成22年7月
啓蟄や処女塚より虫二匹 佐藤 美鈴 平成22年6月
啓蟄や箪笥の底に鯨尺 佐々 紀代 平成22年6月
三月の講堂奔る谷の水 盛野 成信 平成22年6月
落啓蟄やマリオネットの糸の数花 竹下由里子 平成22年6月
早春の水を揺さぶり和紙生る 小川 紫翠 平成22年6月
立春の鯉の反転泥けむり 窪本 正行 平成22年5月
如月の息かけ眼鏡かがやかす 東  霊女 平成22年5月
春ゆくや身代り猿の値段表 安田 循子 平成21年8月
春昼や鍛冶屋のラジオ風に乗る 大坪芙美子 平成21年8月
春深しままごと遊びの続きなぞ 榎本 太郎 平成21年8月
落花生喰い散らかして春惜む 石田 剛 平成21年8月
花冷や右京左京に人満ちて 橘髙 辰男 平成21年7月
啓蟄やコンサートへの長き列 森内 洋子 平成21年6月
立漕ぎのブラウス膨らむ木の芽風 吉野 静 平成21年6月
きさらぎや氷砂糖のガラス瓶 植田 信子 平成21年5月
行く春や動くともなき沖の船 秋本ちゑ子 平成20年9月
パンこねて家ふくらます春の昼 林  梢 平成20年8月
行く春や映画フィルムのブリキ缶 安田 循子 平成20年8月
ひな人形飾りかけては遊びをり 大島 洋子 平成20年7月
春の昼ボンレスハムの切り心地 木村 修 平成20年7月
俯瞰して夫を見送る春の夕 畠山 桂泉 平成20年7月
鷹鳩と化して駅前広場かな 竹中小夜子 平成20年7月
塗箸でつまむ生ゆば花曇 橘高 辰男 平成20年7月
何事もなき春曉の消防署 志水 つい 平成20年7月
頭痛薬一服地虫穴を出づ 石川 暘子 平成20年6月
啓蟄や仕切の多き皮財布 和田恵美子 平成20年6月
寺の縁だまって借りぬ花の昼 志水 つい 平成19年8月
荷造りのテープよじれる春の暮 石田加津子 平成19年7月
船が出る春の土曜の食器棚 水田雅吉子 平成19年7月
さしあたり春の来ているオムライス 石田 剛 平成19年6月
啓蟄やロダンの肘の絆創膏 小川 文子 平成19年6月
メロンパン一つを買いに町うらら 桑原 國 平成19年5月
きさらぎや竿に残りしバスマット 中村多可子 平成19年5月
水ひかる八十八夜の千枚田 志水 つい 平成18年10月
消しゴムの角なくなりて五月来る 坂田 久子 平成18年8月
春めくや二つの部屋に別の風 紀平 吉勝 平成18年6月
春動く一万石の城下町 臼井 巨東 平成18年5月
縁側に腰を並べて春惜しむ 谷川 佳宏 平成17年8月
傘入れて鞄でこぼこ花の冷 箕島 啓子 平成17年7月
信号の「通りゃんせ」より春立ちぬ 吉野 静 平成17年7月
仏滅ではじまる二月ミルクティー 紀平 節子 平成17年6月
モニターに映る胃の腑や木の芽どき 小佐野祐一 平成17年6月
啓蟄や床下収納庫の取っ手 阪口  周 平成17年6月
立春の靴下の色目にしみる 出 日 人 平成17年5月
春立つや鼻の大きな鬼瓦 横山 久香 平成17年5月
コカコーラの瓶の膨らみすぐに夏 若林 千尋 平成16年9月
啓蟄やテレホンカード穴一つ 鎌坂 銀狼 平成16年7月
啓蟄や妻の文箱の有馬筆 西田 浩之 平成16年7月
スリッパが廊下のすみに花の冷 窪田 記与 平成16年7月
暮春いま男にニトログリセリン 横山 冬都 平成16年7月
職引きて二度目の春や名刺焼く 樋口 進二 平成16年6月
風呂場から電話に走る二月尽 出 日 人 平成16年6月
二月には海の近くに行く書棚 石田 剛 平成16年4月
花の昼保険証書を確かめる 竹下由里子 平成15年8月
ゆく春の打ちそこねたる釘の数 横山 冬都 平成15年8月
丸ビルへ足を延ばして彼岸晴 岡田 珠絵 平成15年7月
春うらら片手で渡すタブレット 水上 栄子 平成15年7月
啓蟄やエレベーターのブザー鳴る 大倉 操 平成15年7月
花冷や部屋に手垢のぬいぐるみ 今長谷八津未 平成15年7月
羂索やこの世の春の紐の数 鈴木 茂実 平成15年6月
盛装のごと春昼の白亜館 鈴木あきを 平成15年6月
啓蟄やベビ-ベッドを解体す 小川 文子 平成15年6月
仔犬一匹洗う騒ぎや春立てり 山崎冨美子 平成15年5月
目借時ママの頭が落ちて来る 後藤 理勢 平成14年8月
行く春の頭にコツと身長計 坂本 宣子 平成14年8月
荷くずれのごときバス来て目借時 水田雅吉子 平成14年7月
麗かや気むずかしげな静物画 猿田 恭子 平成14年6月
あたたかや彼女を連れて二男坊 岸本 静代 平成14年5月
春のドア開いてバケツ出てゆけり 横山 冬都 平成14年5月
春昼やまだ一言ももの言わず 奈木野みつを 平成13年7月
名も知らぬ魚定食春惜しむ 小倉 喜郎 平成13年7月
啓蟄や学生服の肘ひかる 志水 つい 平成13年7月
鍋で買う絹ごし豆腐凍返る 鈴木 弘子 平成13年6月
しなやかに尻っぽを立てる春の坂 井上美智子 平成13年6月
江戸名所図会やひょろりと地虫出づ 横山 冬都 平成13年6月
啓蟄の議事堂前のただ広し 袴田比朗士 平成13年6月
ジーパンを穿くに片足探す春 木村美智子 平成12年8月
行く春の羊とシングルベッドかな 小川 文子 平成12年8月
暮遅し羅漢の世間話しかな 高田 文治 平成12年7月
啓蟄やちちんぷいぷい母の唾 今井 紋子 平成12年6月
啓蟄やころがっている肩叩 森田 虹生 平成12年6月
啓蟄や音符の柄の紙コップ 阪口 周 平成12年6月
啓蟄や霞ヶ関の地下出口 袴田比朗士 平成12年6月
鉄棒のさび掌にのこる遅日かな 志水 つい 平成11年9月
アマゾンもカリブも春や水族館 猿田 恭子 平成11年8月
花過ぎてそろそろ箱を出る頃か 小倉 喜郎 平成11年8月
揺れながら進む長針春暮るる 山田  京 平成11年8月
啓蟄ややかん叩いて人集む 小倉 喜郎 平成11年7月
立春の箱から耳を取り出せり 小倉 喜郎 平成11年6月
席詰めて待つ啓蟄の日なりけり 鈴木あきを 平成11年6月
春立つや値札はみでし靴歩く 阪口 周 平成11年6月
三月の原告団の黒鞄 熊田ひとし 平成11年6月
三月や行進曲に陽があたる 小川 紫翠 平成11年6月
飯こぼす母啓蟄の日なりけり 横山 冬都 平成11年6月
千代紙を丸めてのぞく春の城 加藤 すが 平成11年5月
年金の現況届け二月来る 松橋紀代二 平成11年5月
小面の朱唇阿騎野に春立てり 安田 循子 平成11年5月
啓蟄や電話番号間違えし 新家 保子 平成10年8月
うららかやビロードめいた犬の腹 猿田 恭子 平成10年6月
ヘアピンで開きし封書春便り 蓑島 啓子 平成10年6月
啓蟄や八分音符のイヤリング 坂本 宣子 平成10年6月
啓蟄や呼ばれた気がして立止る 桐生 俊明 平成10年6月
三月の靴屋に大き窓ガラス 袴田比朗士 平成10年6月
空缶にハングル文字や海遅日 渕上 富美 平成9年8月
菓子箱の内側白し花の冷え 篠崎 睦美 平成9年7月
啓蟄や父が出てくるクラクション 阪口 周 平成9年7月
白線の引かれて春となる路上 永岡 小枝 平成9年7月
花どきの外階段に段ボール 井上美智子 平成9年7月
あたたかや母のスリッパネーム入 辻  町子 平成9年6月
明け方の駅舎がみえる二月かな 倉持 淑子 平成9年6月
寝違へし首啓蟄の日なりけり 横山 冬都 平成9年6月
春立つや子連れで入る試着室 中邨 安栄 平成9年5月
春深しプラスばかりの螺子回し 熊田ひとし 平成8年9月
春が逝く三分写真の幕の中 小川 文子 平成8年8月
灯を消した紐のゆれてる春の夜 竹内ゆき子 平成8年7月
きさらぎの海に現れたるピアニスト 植田 信子 平成8年6月
春来る釘さしの釘筆箱に 宮川壽美子 平成8年6月
浅春や男の膝に新聞紙 堀井 国乃 平成8年5月
あぶな絵を見せられている桜過 袴田比朗士 平成7年8月
惜春や体型のこす紺の服 小川 紫翠 平成7年8月
父ははになかりし余生春惜しむ 磯崎 藤子 平成7年7月
春鏡パックした顔通りけり 古村 寛子 平成7年6月
啓蟄や菜切包丁ほどの恋 熊田ひとし 平成7年6月

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