作 品 作 者 玄鳥掲載

こめかみを打ちし越路の細か雪 岡部 榮一 平成24年3月
金盥に水張っておく寒昴 岡部 榮一 平成23年2月
一枚の影が先行く冬の月 岡部 榮一 平成23年2月
少年の手の電子音冬銀河 岡部 榮一 平成22年3月
みなと神戸の四温日和や有平棒 岡部 榮一 平成22年3月
天狼や七つの海に抜ける風 岡部 榮一 平成21年3月
木枯しやなにはともあれお線香 岡部 榮一 平成21年1月
窓開けて夜汽車通す冬北斗 岡部 榮一 平成20年4月
切り通し抜けて天底冬銀河 岡部 榮一 平成20年3月
汽車に似る生年月日冬銀河 岡部 榮一 平成12年3月
滲む血に潮の匂い冬北斗 岡部 榮一 平成8年5月

海底に積もる骨片冬の空 土肥 幸弘 平成21年2月
木枯一号吹いて寝酒を二合ほど 土肥 幸弘 平成19年1月
雪の村遠く昭和の灯がともる 土肥 幸弘 平成18年3月
梟てふ開かずの間あり雪催 土肥 幸弘 平成17年3月
筵よりはみ出る素足冬の雨 土肥 幸弘 平成17年2月
ひとしきり鶏小屋さわぐ鎌いたち 土肥 幸弘 平成17年1月
恋文の四銭切手寒昴 土肥 幸弘 平成16年2月
雪催ひゆすって詰めるゴミ袋 土肥 幸弘 平成16年1月
鉄階を音が降りくる冬北斗 土肥 幸弘 平成16年1月
雪舞ふや御田祭の閨事に 土肥 幸弘 平成15年4月
柱時計のゆるぶねぢ音雪催 土肥 幸弘 平成9年4月
工具箱に雌ねぢばかりや雪催ひ 土肥 幸弘 平成15年2月
路に這ふ延長コード雪起し 土肥 幸弘 平成15年2月
冬晴れや不二の裾野の字の数 土肥 幸弘 平成15年2月
昭和の雪載せ疾走の黒き貨車 土肥 幸弘 平成15年2月
節穴に耳が栖みつく虎落笛 土肥 幸弘 平成15年1月
紐一本忘れてゆきし雪女 土肥 幸弘 平成14年1月
電線に来し木枯が灯を点す 土肥 幸弘 平成13年2月
冬銀河ボトルシップに蝶眠り 土肥 幸弘 平成13年1月
姿見の裏に抜け道雪をんな 土肥 幸弘 平成12年4月
したり顔したる去来にしぐれかな 土肥 幸弘 平成12年3月
荒星やぬるき湯舟に長居して 土肥 幸弘 平成12年3月
お米券を酒に換へ来し寒昴 土肥 幸弘 平成11年4月
かまいたちとんとなまけてゐたりけり 土肥 幸弘 平成11年3月
ゲームセンター奥の一部屋しぐれゐし 土肥 幸弘 平成11年3月
冬天へ立てゝ梯子の寸詰まる 土肥 幸弘 平成10年4月
きぬぎぬの三和土を濡らし雪女 土肥 幸弘 平成10年3月
雪女まさかの声を洩しけり 土肥 幸弘 平成10年3月
缶の飴振って確かむ寒の雨 土肥 幸弘 平成7年5月
骨酒に鬼女が添い寝の雪の宿 土肥 幸弘 平成9年4月
浮名ひとつなき越中の雪女 土肥 幸弘 平成9年4月
神戸木枯し拾ひし命と思えども 土肥 幸弘 平成8年3月
垂直に地に立つ畳冬の雨 土肥 幸弘 平成7年5月
冬晴れの瓦礫の街や児が産まる 土肥 幸弘 平成7年4月
倒壊の風呂場あらわに冬日差 土肥 幸弘 平成7年4月
戸袋にたぐり込まれし冬日かな 土肥 幸弘 平成7年2月
日に一度冬日が届く火伏札 土肥 幸弘 平成7年2月

うす蒼き遠望の島寒の凪 上ノ堀ミツヨ 平成24年6月
冬銀河ミュロンの像の大臀筋 竹下 貞夫 平成24年5月
自転車の小雪をはらふ五・十日かな 橘 辰男 平成24年5月
冬の日やうがい薬の一目盛 吉田 淑子 平成24年4月
冬麗や舟屋の海の番鳥 年清 彰雄 平成24年4月
しぐれ虹六区に下駄の音しきり 中島 道夫 平成24年4月
産声やふわりと胸に雪つもる 横山 久香 平成24年4月
一の谷時雨のあとの坂下る 井上美知子 平成24年3月
回転木馬はどれも先頭冬うらら 石川 暘子 平成24年3月
母の忌を修し風花見てゐたり 井上美知子 平成23年5月
雪しんしん盗聴されてゐるここち 鈴木あきを 平成23年5月
図書館の本にはさまる冬の月 藤美 恵子 平成23年5月
傘の雪落として歩くまた歩く 大坪芙美子 平成23年5月
寒夕焼時をり人が裏がへる 伊藤 保子 平成23年5月
赤ちゃんの連続キック雪の花 遠目塚信子 平成23年4月
高階の看取りに届く霜の声 松田眞喜子 平成23年4月
冬麗や慶喜筆の日本橋 小林 妙子 平成22年5月
顔一つ流れてゆけり雪の橋 河合 彰 平成22年5月
鼻をかむ手にオリオンの降りて来し 澤由 紀江 平成22年4月
忙中閑畳に拾う冬の虹 松尾 美子 平成22年4月
回送のツバメに越さる冬銀河 藤美 恵子 平成22年3月
若き友逝く告知欄雪が降る 渡辺 淳子 平成21年5月
海女小屋をかたくとざすや初時雨 千住 昌子 平成21年4月
冬凪の真空管に光する 津子 平成21年4月
時雨ればチェロが螺旋階段になる 岩切 恵子 平成21年3月
空風や水音錆びる川晒し 林  芳子 平成21年3月
冬月と姉閉じ込める姫鏡台 若林 千尋 平成21年3月
寒の晴太き向股大写し 大谷 進治 平成20年5月
冬銀河船長室のバイオリン 宮川 周子 平成20年5月
風花の天に始まる聖史劇 植田 信子 平成20年5月
南座の庵看板風花す 樋口 進二 平成20年4月
黒楽の銘に悪女や雪催 小池紀代美 平成20年4月
性欲は灯る海から来る木枯し 石田 剛 平成20年4月
ひもろぎの三輪の恋歌冬の月 柳楽八洲子 平成20年3月
寒月下ゆく人絶えて道ちぢむ 水田雅吉子 平成20年3月
手配写真に似て春風の山頭火 文野 好子 平成19年7月
新刊や春の雪降る八重洲口 松下ナミ子 平成19年7月
春一番欠航のビラ吹きとばす 井上きくを 平成19年7月
靴音の不意にひとつや冬銀河 大坪芙美子 平成19年5月
蒟蒻のあってなき味冬銀河 八嶋 貞子 平成19年4月
豊饒の海に残りし冬の月 若林 千尋 平成19年4月
洋上にチョークを引いて冬うらら 安岡 園 平成19年3月
落柿舎の壁の短冊冬日差 樋口 進二 平成19年3月
江田島に落日の道冬霞 小川 紫翠 平成19年3月
縁側にボストンバック鵙日和 横山 洋子 平成19年3月
階段に姉がいたはず冬銀河 古澤かおる 平成18年5月
降る雪を向うの窓も見ていたる 尾崎トキ子 平成18年5月
人の死を見届けに行く雪の中 石田 剛 平成18年5月
洛中のかたびら雪や太平記 安田 循子 平成18年5月
聖夜劇雪かたまって落ちにけり 八木 風衣 平成19年4月
冬空や隣家にセロの入門者 吉村美智代 平成18年3月
木枯しと来る熊だけを撃つ男 石田 剛 平成18年3月
寒満月征きし学徒の靴の音 柴崎ゆき子 平成17年5月
新雪を踏み昨日の嘘を恥づ 杉山 幸人 平成17年4月
自転車のぐらつく荷物雪催い 坂口 周 平成17年4月
猫に見えわれに見えざる冬の虹 進藤三千代 平成17年4月
冬銀河時々詩人になる夫 太田千代子 平成17年3月
雪晴やこの足跡はかの手負ひ 本岡 敬子 平成17年3月
アパートに冬日のような酒の壜 加藤 すが 平成17年3月
雪催いカーとのこまが行き詰まる 坂口 周 平成16年6月
雪塊にスコップを挿し飯喰いに 山崎冨美子 平成16年5月
雪の夜の汽車の窓ごと人の見え 袴田比朗士 平成15年5月
ミュージカル観て風花の電車かな 吉野 静 平成15年4月
新宿に雪終わらないリハーサル 小倉 喜郎 平成15年4月
しぐるるや躓きそうな救急車 浮谷 栄子 平成15年3月
雪の椅子に未生の子等の戯れる 植田 信子 平成14年6月
深雪晴れ枕カバーが干してある 小倉 喜郎 平成14年5月
部屋を這う延長コード雪催い 井出 栄子 平成14年5月
風花やバリアフリーの出入口 岡田美佐枝 平成14年5月
町内に三分ほどの雪が降る 出 日 人 平成14年4月
冬うららシーツに残る竿の跡 浮谷 栄子 平成14年4月
寺田屋の階段きしみ時雨くる 松下奈美子 平成14年3月
円卓や冬凪の海一望に 倉持 淑子 平成14年3月
黙祷の耳が集めているしぐれ 桐生 俊明 平成14年3月
切り通し多き鎌倉しぐれけり 横山 冬都 平成14年2月
弁慶を思えり雪の反射光 東  霊女 平成13年5月
寒の雨ビニール傘を手渡さる 鈴木 弘子 平成13年3月
初恋のぶらんこ雪に埋れいし 澤谷 文代 平成12年5月
虎落笛聴き惚れていし変圧器 水上 栄子 平成12年4月
錆びている甲冑の胸雪催 小川 紫翠 平成12年4月
冬晴や恋も一緒に洗濯す 江村 博子 平成12年3月
しぐれるや全教室に灯がともる 池本千恵子 平成12年3月
冬日和死に神包帯しておりぬ 大西 昇月 平成12年3月
国旗たたんで雪の一日終らせる 石田 剛 平成11年6月
のれんから頭大雪注意報 石田 剛 平成11年5月
屋根雪が落ちきってから「さて諸君」 宮川壽美子 平成11年5月
銭湯ののれんの「ゆ」の字冬昴 山田 京 平成11年3月
アンニュイな彼冬凪の貨物船 植田 信子 平成11年3月
掌中の鍵あたたまる冬の虹 斉藤志げ子 平成10年5月
風花のひとひらの着く束子かな 坂本 宣子 平成10年5月
冬うららひとり乗るたびバス揺れる 伊藤 保子 平成10年4月
左手を右手がつかむ冬銀河 坂本 宣子 平成10年3月
雪晴や盛りたる芋に箸の穴 袴田 雅子 平成9年5月
雪催昨夜の鍋の汁流す 桐生 俊明 平成9年5月
寒星やラーメンに浮く油吸う 佐々木艶子 平成9年4月
よく回る犬の尻尾や初霰 宮川壽美子 平成9年3月
しぐるるや壁の後を人通る 前山 厚子 平成9年3月
遠国や雪の匂いのおぶい紐 本岡 敬子 平成8年6月
母の近くで眠ってあげる雪明かり 石田 剛 平成8年5月
雪の画の家のひとつに戻りけり 久保 俊一 平成8年5月
途絶えたるカミソリの音虎落笛 小松冨佐子 平成8年4月
魚めきし銀貨のおもて夕しぐれ 進藤三千代 平成8年4月
椅子すこしずらせば冬の空が見ゆ 熊田ひとし 平成8年3月
風花や買ってすぐさす黄楊の櫛 佐藤 宗雄 平成7年7月
風花や一本残る妻楊子 跡治 順子 平成7年6月
テープ巻きもどす風花の街神戸 岡田美佐枝 平成7年6月
うぶすなや凍天はるか黙示の火 植田 信子 平成7年5月
雪の夜は猟銃の棚開けておく 中村 子鶯 平成7年5月
雪しずく母の砧に似たる闇 山崎冨美子 平成7年5月
降る雪を吸い込み海の彩濃くす 安井 史朗 平成7年4月
ハンガーに冬日のとどく守衛室 井上きくを 平成7年4月
シュートするラガー冬日を集めおり 藤川 圭子 平成7年4月
虎落笛北斗は傾ぐわが首へ 溝本まさゆき 平成7年4月
モンローのほくろ時雨の蓄音機 倉持 淑子 平成7年3月


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