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作 品 |
作 者 |
玄鳥掲載 |
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野良猫と微妙な間合ひ懐手 |
岡部 栄一 |
平成24年2月 |
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寒卵落せば伊曾保物語 |
岡部 栄一 |
平成24年2月 |
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芒折れば騒がしくなる布団部屋 |
岡部 栄一 |
平成23年12月 |
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雑炊や末の娘の握り箸 |
岡部 栄一 |
平成22年2月 |
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両の手で塞ぐ嚔や三ノ宮 |
岡部 栄一 |
平成20年4月 |
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日向ぼこ二階の部屋が舟になる |
岡部 栄一 |
平成20年3月 |
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水餠に巡航船の着く時間 |
岡部 栄一 |
平成14年4月 |
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別れた人の禁煙パイポと冬帽子 |
土肥 幸弘 |
平成21年12月 |
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寒燈を消し空襲の闇の中 |
土肥 幸弘 |
平成21年3月 |
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まだ骨とならぬ水餅闇のなか |
土肥 幸弘 |
平成21年1月 |
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熱燗の徳利のごとき君なりき |
土肥 幸弘 |
平成21年1月 |
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鰭酒や銀河の端の町に棲み |
土肥 幸弘 |
平成20年2月 |
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煤i逃げの映画に若きバークマン |
土肥 幸弘 |
平成20年2月 |
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路地裏に昭和の匂ひ年用意 |
土肥 幸弘 |
平成20年2月 |
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白息に声が追いつくささめ言 |
土肥 幸弘 |
平成19年2月 |
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餅焼くや大河ドラマは桶狭間 |
土肥 幸弘 |
平成18年3月 |
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次の世の段取りもして年用意 |
土肥 幸弘 |
平成18年2月 |
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葱挟みあぐ猪鍋のカオスより |
土肥 幸弘 |
平成18年2月 |
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牡丹鍋だんだん顔の寄って来し |
土肥 幸弘 |
平成18年2月 |
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大小の白息集ふ通夜の家 |
土肥 幸弘 |
平成18年1月 |
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寒イボの出でし徴兵検査かな |
土肥 幸弘 |
平成18年1月 |
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咳こらへゐし昭和史の中ほどに |
土肥 幸弘 |
平成18年1月 |
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紆余曲折の果ての鍋焼きうどんかな |
土肥 幸弘 |
平成17年3月 |
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ねんねこの紐の交はる童唄 |
土肥 幸弘 |
平成17年3月 |
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雑炊の少し傾ぎて冷えてゐし |
土肥 幸弘 |
平成17年3月 |
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三味線の稽古帰りの薬喰ひ |
土肥 幸弘 |
平成17年2月 |
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湯たんぽの水いつまでも出てきたる |
土肥 幸弘 |
平成16年4月 |
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恋も敵もないわけでなし日向ぼこ |
土肥 幸弘 |
平成16年2月 |
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ピカソ展ねんねこの足機嫌よき |
土肥 幸弘 |
平成16年2月 |
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鯨幕撥ねれば倒る雪だるま |
土肥 幸弘 |
平成15年2月 |
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くすぶれる焚火の裾をめくりゐし |
土肥 幸弘 |
平成14年3月 |
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煮凝りに透く戦中の板間かな |
土肥 幸弘 |
平成14年2月 |
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ねんねこの赤子を泣かすため抓る |
土肥 幸弘 |
平成14年1月 |
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水餠の壺中に月の出る頃か |
土肥 幸弘 |
平成13年3月 |
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水洟や沖に散らばる新聞紙 |
土肥 幸弘 |
平成13年2月 |
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金輪際といふ男なり冬座敷 |
土肥 幸弘 |
平成13年2月 |
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鰭酒やポケットの中混んできし |
土肥 幸弘 |
平成13年2月 |
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だまされて乗る湯たんぽの波の上 |
土肥 幸弘 |
平成13年1月 |
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鰭酒のまはって来たる観覧車 |
土肥 幸弘 |
平成13年1月 |
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雪吊や役目果たさず外されし |
土肥 幸弘 |
平成12年4月 |
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寝ごこちを試してゐたり畳替 |
土肥 幸弘 |
平成12年2月 |
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今日の音始まる前の冬座敷 |
土肥 幸弘 |
平成12年2月 |
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狂四郎にも忍者にもなり日向ぼこ |
土肥 幸弘 |
平成12年1月 |
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鰭酒や大山椒魚のごとき酔 |
土肥 幸弘 |
平成11年4月 |
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寒灯を消す隅々を確めて |
土肥 幸弘 |
平成11年4月 |
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竹馬の首の残れる塀の上 |
土肥 幸弘 |
平成11年3月 |
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食堂車に熱燗が出て関ヶ原 |
土肥 幸弘 |
平成11年2月 |
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何事にも手を挙げちゃんちゃんこの男 |
土肥 幸弘 |
平成11年1月 |
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布団叩く妻が遠くに居りしかな |
土肥 幸弘 |
平成10年2月 |
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外套やどのポケットに手を入れむ |
土肥 幸弘 |
平成10年2月 |
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奥能登の何を見て来しふところ手 |
土肥 幸弘 |
平成10年2月 |
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幾曲がりして通されし冬座敷 |
土肥 幸弘 |
平成10年5月 |
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辞し去るやすぐ灯の消えし冬座敷 |
土肥 幸弘 |
平成10年5月 |
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煮凝りや一人残りし通夜の客 |
土肥 幸弘 |
平成9年5月 |
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外套のづかづか入りし化粧部屋 |
土肥 幸弘 |
平成9年4月 |
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隣の席にショールを置きて居ずなりし |
土肥 幸弘 |
平成9年4月 |
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隣の障子開かずじまいに暮れにけり |
土肥 幸弘 |
平成9年4月 |
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ねんねこに手が出て海に行けという |
土肥 幸弘 |
平成9年2月 |
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煙草火を借る冬帽の首を曲げ |
土肥 幸弘 |
平成9年2月 |
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音立てぬ人の往き来や白障子 |
土肥 幸弘 |
平成8年4月 |
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煤けるために電球はあり榾の宿 |
土肥 幸弘 |
平成8年2月 |
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一番早く冬の灯が点く古本屋 |
土肥 幸弘 |
平成8年2月 |
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ねんねこの中味確かめつつ歩く |
土肥 幸弘 |
平成7年6月 |
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牡丹鍋にごりて暮れし町の空 |
土肥 幸弘 |
平成7年6月 |
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冬灯欲し石ころの街三ノ宮 |
土肥 幸弘 |
平成7年5月 |
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蓮根掘るごとくに家具の海歩く |
土肥 幸弘 |
平成7年4月 |
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餅搗いて餅の白さに眠りけり |
土肥 幸弘 |
平成7年3月 |
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咳き込んで顔のどこかがこわれけり |
土肥 幸弘 |
平成7年3月 |
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何のためにあるおでん屋の壁鏡 |
土肥 幸弘 |
平成7年2月 |
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悪事せしごとく大きなマスクかな |
土肥 幸弘 |
平成7年2月 |
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暮る丶まで湖見て嚏もらひけり |
土肥 幸弘 |
平成7年2月 |
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凍ゆるむ両の手だらりと垂らすとき |
黒田 紅玲 |
平成24年6月 |
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冬ごもり豆腐油揚買ってある |
古澤かおる |
平成24年4月 |
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風垣の十戸の村の灯が漏れる |
盛 みちこ |
平成24年4月 |
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たる源の湯豆腐桶の柾目かな |
植田 早苗 |
平成24年3月 |
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何ごともなくて夕べの根深汁 |
島倉 春美 |
平成24年3月 |
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雨降りの一日古い毛糸玉 |
猿田 恭子 |
平成24年3月 |
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ビードロの中の少年冬帽子 |
島倉 春美 |
平成24年2月 |
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飯島晴子湯たんぽの水揺りやまず |
竹下由里子 |
平成23年6月 |
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ねんねこの子が指をさす曲り角 |
山根 京子 |
平成23年5月 |
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縄の灰見える炉端や年の鐘 |
山田 美 |
平成23年5月 |
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先代の大き表札焼嗅し |
辻 町子 |
平成23年5月 |
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バーバリのコートに日経立飲屋 |
樋口 進二 |
平成23年5月 |
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宗教も哲学もなくマスクする |
小川 紫翠 |
平成23年5月 |
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風邪の子にポインセチを遠ざける |
古澤かおる |
平成23年4月 |
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湯豆腐のいのちの際を掬ひけり |
鈴木あきを |
平成23年4月 |
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鱈ちりや突如浮上の潜水艦 |
竹下 貞夫 |
平成23年3月 |
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豆パンの豆が片寄る昼の火事 |
跡治 順子 |
平成23年3月 |
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冬座敷横切る電気コードかな |
加藤 幸子 |
平成22年5月 |
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引金をひく手袋を脱ぎにけり |
神野 多根 |
平成22年3月 |
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樏を持って越後を捨てにけり |
俵田美惠子 |
平成21年5月 |
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水餅も胎児も夜明け海を恋う |
若林千尋村 |
平成21年5月 |
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八百の仮説ひとつの寒卵 |
木村 修 |
平成21年4月 |
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母送り姑送り足袋白く干す |
大坪芙美子 |
平成21年4月 |
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スケートの刃を滴らせ女学生 |
後藤 理勢 |
平成21年4月 |
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日に透きし花の切り貼り白障子 |
成田 照子 |
平成21年4月 |
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幾年やははを身近に年用意 |
大西 史子 |
平成21年4月 |
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煮凝や夫といふ名の魚ゐて |
田村竹次郎 |
平成21年3月 |
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着ぶくれて鳥獣戯画のなかにをり |
横山 冬都 |
平成21年3月 |
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とんぼりの風に乾きし河豚の鰭 |
井上きくを |
平成20年5月 |
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死者生者暗いところに寒卵 |
跡治 順子 |
平成20年5月 |
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後の世はおでん屋台になる棺 |
木村 修 |
平成20年4月 |
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漫画本脚立に噛ませ煤払い |
渡利 寿美 |
平成20年4月 |
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立読んで畳む朝刊年用意 |
樋口登代子 |
平成20年4月 |
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冬帽を真深く昭和の中にいる |
新保 吉章 |
平成20年4月 |
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煤逃げの夫の行方や洛外図 |
東 霊女 |
平成20年4月 |
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団塊の赤色エレジー水っ洟 |
安田 循子 |
平成20年4月 |
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煤逃におぎんを連れて羅生門 |
窪本 正行 |
平成20年3月 |
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日向ぼこだけの出演笠智衆 |
木村 修 |
平成20年3月 |
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牧閉じて夜は魁夷の馬遊ぶ |
鈴木あきを |
平成20年3月 |
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ゆず湯の香まるごとキャッチバスタオル |
大西 史子 |
平成20年3月 |
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日向ぼこ前のふたりを見失う |
伊藤 保子 |
平成20年3月 |
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埋火や妣の袢纏のたもとくそ |
横山 洋子 |
平成19年5月 |
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狸汁明るいうちに帰ろうか |
井上きくを |
平成19年5月 |
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湯たんぽや足でパジャマの裾おろす |
阪口 周 |
平成19年5月 |
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どの駅で降りるつもりか毛糸編む |
宗光 永治 |
平成19年4月 |
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弁慶も食して見しや鮟鱇鍋 |
高橋 慶子 |
平成19年4月 |
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懐手元より買う気などあらず |
鯨井 孝一 |
平成19年4月 |
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門前で買う冬帽子旅途中 |
石田加津子 |
平成19年3月 |
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手みやげのとらやの包み冬座敷 |
橘高 辰男 |
平成19年3月 |
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忘却といふ芸もあり日向ぼこ |
多武 静也 |
平成19年3月 |
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俎板を削ってもらふ風邪心地 |
太田 鈴子 |
平成19年3月 |
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竹馬やスパナ探してたんだった |
水田雅吉子 |
平成19年3月 |
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たまご酒魔女のホウキで寝にゆける |
松田眞喜子 |
平成19年2月 |
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昼火事は川向うなり窓を拭く |
久野 孝子 |
平成18年4月 |
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マスクして教室といふコロシアム |
榎本 太郎 |
平成18年4月 |
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日記果つ形状記憶のカットソー |
花坂千江子 |
平成18年3月 |
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雪吊りの縄まだ青き北の街 |
尾崎トキ子 |
平成18年3月 |
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鴨鍋や硝子の曇り拭けば湖 |
志水 つい |
平成17年6月 |
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河豚汁や声の大きい若女将 |
野間 成子 |
平成17年5月 |
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見る客も並ぶこけしも懐手 |
長谷川純彦 |
平成17年5月 |
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日向ぼこ猫に見られて爪を切る |
盛 みち子 |
平成17年5月 |
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錯覚のごとき昭和や冬篭り |
石田 剛 |
平成17年5月 |
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音楽室にバッハの視線風邪ごこち |
今井 紋子 |
平成17年4月 |
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焚火の輪中の一人が火を育て |
井上きくを |
平成17年4月 |
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風呂吹きを吹く小男と大男 |
石田 剛 |
平成17年4月 |
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モーゼスの絵の中にゐし日向ぼこ |
太田 鈴子 |
平成17年4月 |
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ストーブを焚けば朝刊匂い出す |
出 日 人 |
平成17年3月 |
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昼火事やマニキュアが剥げかけている |
植田 信子 |
平成17年3月 |
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冬帽子頬杖をつくチョン・ミンス |
小倉 喜郎 |
平成17年2月 |
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埋火を文箱に殖やし夜の雨 |
植田 信子 |
平成17年2月 |
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いつまでもホームにおりし冬帽子 |
鈴木 弘子 |
平成16年6月 |
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置炬燵従姉に足をつねられし |
樋口 進二 |
平成16年5月 |
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雪だるま我が身代わりに置いてきし |
本岡 敬子 |
平成16年5月 |
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大君の兵着膨れて妻と棲む |
八木 風衣 |
平成16年5月 |
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最澄の山風わたる干大根 |
安井 史朗 |
平成16年5月 |
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筒っぽや昭和は遠き縄飛歌 |
安田 循子 |
平成16年5月 |
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闇汁や鼠くわえし猫背戸に |
樋口 進二 |
平成16年4月 |
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サインペンきゅきゅと音して風邪ごこち |
坂本 鯨子 |
平成16年4月 |
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埋み火や古き手帖に男の名 |
安田 循子 |
平成16年4月 |
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水洟やビリケンいつも小声なる |
進藤三千代 |
平成16年4月 |
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するすると父が解けゆく毛糸玉 |
久保 俊一 |
平成16年4月 |
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たのまれし茎石一つ持て余す |
熊田ひとし |
平成16年4月 |
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河豚鍋や壁に掛けあるピカソの絵 |
新井 裕 |
平成16年3月 |
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玉の緒よラクダのシャツの様な恋 |
鈴木 令子 |
平成16年3月 |
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午後の日の当たる空瓶日記買う |
坂本 宣子 |
平成16年3月 |
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風邪熱や夜行列車となる背骨 |
植田 信子 |
平成16年2月 |
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日曜の屋根花柄の干し布団 |
志水 つい |
平成15年7月 |
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探梅や行きも帰りも眉毛掻く |
出 日 人 |
平成15年5月 |
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ちゃんちゃんこ兵法の書を座右とし |
八木 風衣 |
平成15年5月 |
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弔ひのまづ股引きを穿きにけり |
井上美智子 |
平成15年5月 |
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火事の樹を探しに行きし掌 |
岡田美佐枝 |
平成15年4月 |
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遠いテロねんねこに嬰の足がでて |
山崎冨美子 |
平成15年4月 |
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私小説めき毛糸玉転がりぬ |
新井 裕 |
平成15年3月 |
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着ぶくれて月に旅立つごとくなり |
鈴木あきを |
平成15年3月 |
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いつだって年頃なのよなめこ汁 |
後藤 理勢 |
平成15年3月 |
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ストーブの灯に牧水の歌集読む |
出 日 人 |
平成15年2月 |
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体温を毛布に移しみまかれる |
鈴木あきを |
平成15年2月 |
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湯たんぽはとぷんとぷとぷ水抜かれ |
石田 剛 |
平成14年6月 |
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研ぎ癖のつきし砥石や干菜風呂 |
竹下由里子 |
平成14年5月 |
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寒卵大型トレーラー過ぎる |
坂本 宣子 |
平成14年5月 |
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裏山の電話番号根深汁 |
山内 宜子 |
平成14年4月 |
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チェンソーに僕近づいて冬休み |
井上美智子 |
平成14年4月 |
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白足袋のつながり行きし日暮れかな |
太田 まさ |
平成14年3月 |
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昼の酒開けても開けても白障子 |
若林 千尋 |
平成14年3月 |
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ひとつずつ灯が点る町雪見酒 |
瀬山 賤女 |
平成13年6月 |
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みずうみや堅田の町の白障子 |
志水 つい |
平成13年6月 |
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寒稽古終りしピザのトッピング |
荻野 美保 |
平成13年5月 |
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何処へと聞かれておりし冬帽子 |
高田 文治 |
平成13年5月 |
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片方はくたりと折れしブーツかな |
伊藤 保子 |
平成13年5月 |
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ヒーターは埃の匂い初炬燵 |
長谷川純彦 |
平成13年4月 |
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映画観に行く気はんぶん干布団 |
水田雅吉子 |
平成13年4月 |
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逆立ちをして大襖倒しけり |
西田由紀子 |
平成13年3月 |
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木の下を掃き雪吊りの終りけり |
坂部まきゑ |
平成13年3月 |
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ポケットのマスクの中の恋の菌 |
桝室 杏花 |
平成12年6月 |
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風邪声のアナウンサーやごぼう巻 |
竹下由里子 |
平成12年5月 |
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肯定の父の一語や白障子 |
横山 冬都 |
平成12年5月 |
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見比べる見合ひ写真と日向ぼこ |
木村 理勢 |
平成12年4月 |
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酔い醒めに立ちはだかりし白障子 |
植田 信子 |
平成12年4月 |
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リムジンを脚から降りる裘 |
倉持 祐浩 |
平成12年3月 |
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黒板に先生風邪と大きな字 |
井上きくを |
平成11年5月 |
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手袋に指の包帯とられたり |
鈴木 弘子 |
平成11年4月 |
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神木に五・六人いる年用意 |
辻 町子 |
平成11年4月 |
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白障子しずかに鮮血待っており |
新保 吉章 |
平成11年4月 |
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コンビニのおでん楽しき独り者 |
鈴木 弘子 |
平成11年3月 |
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この部屋が好きで転がる毛糸玉 |
安井 史朗 |
平成10年5月 |
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背を向けて話の遠くなる焚火 |
三島 章子 |
平成10年4月 |
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恋人は素顔で風邪の神つれて |
植田 信子 |
平成10年4月 |
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寺の客障子ほそめに通される |
本岡 敬子 |
平成10年3月 |
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障子の穴あれば覗きて昼の茶屋 |
袴田比朗士 |
平成10年3月 |
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嗅ぎてより巻くマフラーは夫のもの |
山崎冨美子 |
平成10年2月 |
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帰り来し樏の紐棒のごと |
中村 子鶯 |
平成9年6月 |
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湯豆腐のやさしく箸にさからひぬ |
斉藤志げ子 |
平成9年5月 |
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雪吊りの縄の一本遊びおり |
片岡 禎子 |
平成9年5月 |
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足の爪剪るに炬燵を這いだせる |
山崎冨美子 |
平成9年5月 |
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煤掃のはこぶ鏡に写る顔 |
宮木とよほ |
平成9年4月 |
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吉良の忌や障子を移る木々の影 |
安井 史朗 |
平成9年4月 |
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屋上に昼月懸る年忘 |
熊田ひとし |
平成9年4月 |
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早引けの少年に海寒卵 |
太田 鈴子 |
平成9年4月 |
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風邪の引きはじめ正午の鳩時計 |
本岡 敬子 |
平成9年3月 |
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眉引きし母鷹匠の顔となる |
兼平 栄 |
平成9年2月 |
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冬帽子鰻を食ひに誘ひ出す |
前山 厚子 |
平成9年2月 |
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ふくろふの顔しておりぬ寒卵 |
木村美智子 |
平成8年7月 |
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カーテンをはねて家出るスキー板 |
坂本 宣子 |
平成8年6月 |
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ポケットに宿の鍵ありおでん酒 |
井上きくを |
平成8年5月 |
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コーヒーの冷める速度や日向ぼこ |
若林 千尋 |
平成8年4月 |
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粥噴くをなだめなだめて風邪心地 |
奥野 文子 |
平成8年4月 |
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にぎやかな声散らばりぬ昼の火事 |
前山 厚子 |
平成8年4月 |
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ダンディで通すお方や冬帽子 |
佐藤むつみ |
平成8年3月 |
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たまご酒都会はガラスばかりなり |
松田眞喜子 |
平成8年3月 |
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安否まだ浜の焚火に届かざる |
中村 子鶯 |
平成8年3月 |
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足音の嚏するとき立ち止まる |
長澤 秀花 |
平成8年3月 |
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五六人ともかく焚火はじめけり |
袴田比朗士 |
平成7年6月 |
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マスクしてマスクの人に近よらず |
佐藤むつみ |
平成7年5月 |
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セーターから首出て今日のはじめかな |
坂本 宣子 |
平成7年5月 |
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通された障子の部屋にまだひとり |
志水 つい |
平成7年5月 |
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煮凝りの肩胛骨よ震災よ |
岡田美佐枝 |
平成7年5月 |
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灸院の浮世床めく大火鉢 |
横山 冬都 |
平成7年4月 |
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歳時記TOP