作 品  作 者 玄鳥掲載

夜は夜の歩幅のありぬ後の月 岡部 榮一 平成24年11月
妹のしゃがんだ背中望の月 岡部 榮一 平成24年11月
秋の日の抜き身の太刀の刃文かな 岡部 榮一 平成24年10月
鰯雲海馬に水輪ひろがりし 岡部 榮一 平成22年12月
西向きの三畳一間天の川 岡部 榮一 平成22年10月
団塊の円形校舎いわし雲 岡部 榮一 平成22年10月
鰯雲棒曳き帰るランドセル 岡部 榮一 平成21年12月
吊り下げし鏡を磨く野分後 岡部 榮一 平成21年12月
影踏みをひとりで遊ぶ十三夜 岡部 榮一 平成21年11月
天井の染みに名が付く良夜かな 岡部 榮一 平成21年11月
須磨浦のジュークボックス秋の風 岡部 榮一 平成21年10月
垣間見し乳房の痣や天の川 岡部 榮一 平成21年10月
校庭に竹割く音や鰯雲 岡部 榮一 平成20年12月
通りゃんせ川越小江戸芋の月 岡部 榮一 平成20年11月
秋時雨大江戸佃もんじゃ焼 岡部 榮一 平成20年11月
秋の天硬い動輪手で回す 岡部 榮一 平成20年1月
耳の穴指で確かむ霧の中 岡部 榮一 平成19年2月
教室からラッパが覗く鵙日和 岡部 榮一 平成19年2月
十三夜湯舟に銀のクルスかな 岡部 榮一 平成13年1月
いっぽんの樹が会いに来る霧の中 岡部 榮一 平成8年2月

岬馬秋の夕日を孕みたる 土肥 幸弘 平成21年12月
大阪に三日続きの秋の雨 土肥 幸弘 平成21年11月
月が一度通りしのみの水たまり 土肥 幸弘 平成21年11月
隠り沼や夜は稲妻の栖なる 土肥 幸弘 平成20年11月
武器になる石ごろごろと天の川 土肥 幸弘 平成20年11月
十六夜や雲梯にゐし人と逢ふ 土肥 幸弘 平成20年9月
星飛ぶや沖縄いまも基地の町 土肥 幸弘 平成19年12月
昼月と添ひ寝してきし月日かな 土肥 幸弘 平成19年12月
天高し百円分の鳥の餌 土肥 幸弘 平成19年12月
腕ごと盗られしカメラ秋の風 土肥 幸弘 平成19年11月
秋天と銃声写りゐしカメラ 土肥 幸弘 平成19年11月
鰯雲下がらあきの日本海 土肥 幸弘 平成19年10月
大仏の背中に窓や秋の天 土肥 幸弘 平成18年12月
朝飯に付く生卵鵙の晴 土肥 幸弘 平成18年12月
戦死の兵が腸を繕ひゐる月夜 土肥 幸弘 平成18年11月
星飛ぶや毛深き腕が海に生え 土肥 幸弘 平成18年11月
表札の寓の字うする秋の雨 土肥 幸弘 平成18年10月
バンザイの胴のガラ明き芋嵐 土肥 幸弘 平成18年9月
放哉の見し首洗ひ池の月 土肥 幸弘 平成17年12月
秋風や赤子がつかむ鼻の穴 土肥 幸弘 平成17年12月
秋雨に濡れて噴水元気なり 土肥 幸弘 平成17年11月
月白や湖上を渡る人の声 土肥 幸弘 平成17年11月
句座に出る湖上の月といふ銘菓 土肥 幸弘 平成17年11月
黄桜の河童の膝も良夜かな 土肥 幸弘 平成16年12月
天の川水栽培の根っこ見え 土肥 幸弘 平成16年12月
鶏小屋の防御固めし野分かな 土肥 幸弘 平成16年11月
一歩前え出て還らざりいわし雲 土肥 幸弘 平成16年11月
及び腰脚立の影も良夜かな 土肥 幸弘 平成16年10月
影が逢ふ本郷菊坂星月夜 土肥 幸弘 平成16年10月
寝待月そのまま眠ってしまひたる 土肥 幸弘 平成15年11月
便器いま離陸の気配羊雲 土肥 幸弘 平成14年12月
路面電車のレールが二本雁渡し 土肥 幸弘 平成14年12月
降りてくる尻を支へてゐる良夜 土肥 幸弘 平成13年12月
汁椀のつつと動けり十三夜 土肥 幸弘 平成12年12月
下駄箱の上の消火器後の月 土肥 幸弘 平成12年12月
うさんくさい灯火のうごく雨月かな 土肥 幸弘 平成12年12月
身のうちの酔が片寄る秋の雨 土肥 幸弘 平成12年11月
予後の身を平たく置けり寝待月 土肥 幸弘 平成12年11月
手術痕ピンク親しき良夜かな 土肥 幸弘 平成12年11月
手首ほそき千手の腕稲びかり 土肥 幸弘 平成12年10月
いわし雲翔ぶ気になりし風見鶏 土肥 幸弘 平成11年11月
いわし雲自転車は地に倒すもの 土肥 幸弘 平成11年10月
枕頭のコップの水も良夜かな 土肥 幸弘 平成10年12月
手間取りし台風その気になって来し 土肥 幸弘 平成10年12月
箪笥の上に箱のはみ出る良夜かな 土肥 幸弘 平成10年1月
天の川釣針一本垂れてきし 土肥 幸弘 平成9年11月
ひとところたくれてゐたりいわし雲 土肥 幸弘 平成9年11月
胴上げの足がとどきしうろこ雲 土肥 幸弘 平成9年1月
十六夜の水とじ込めし湯舟かな 土肥 幸弘 平成8年12月
うなづいて人が別れる良夜かな 土肥 幸弘 平成8年12月
杉山に秋雨しげし昼の酒 土肥 幸弘 平成8年12月
八方の悪口聞こえ露けしや 土肥 幸弘 平成8年1月
胸板の柾目ただしき良夜かな 土肥 幸弘 平成8年1月
寝たあとの鏡の景色十三夜 土肥 幸弘 平成8年1月
脚立たてて雨戸繕ふ後の月 土肥 幸弘 平成8年1月
紙コップと紙皿余る後の月 土肥 幸弘 平成7年12月
霧を呼ぶためのホテルの非常口 土肥 幸弘 平成7年12月
台風来ご飯しっかり食べてをり 土肥 幸弘 平成7年12月
探偵が居る台風の喫茶店 土肥 幸弘 平成7年11月
潜水艦着く秋霖の地下ホーム 土肥 幸弘 平成7年11月

道場に弾む蹠天高し 眞木 康江 平成24年12月
乳たりて眠る児膝に良夜かな 斉藤 静 平成24年12月
秋霜や五百羅漢のあばら骨 斎藤 雅宣 平成24年2月
十字架に表裏なき秋高し 三宅 雅子 平成24年2月
湯上りのパジャマにパーカ後の月 樋口 進二 平成24年2月
海に浮く月にオラショの喉仏 長澤 秀花 平成24年1月
浜小屋の扉の木目初嵐 嶋崎 豐山 平成23年2月
この村の本地垂迹十三夜 木村 和芳 平成23年2月
秋天へ総帆転帆日本丸 片山 宣子 平成23年2月
おむすびのてっぺんの胡麻天高し 佐藤 美鈴 平成23年1月
鬼女走るごとく野分の日高川 窪本 正行 平成23年1月
木曽三川一望にして秋高し 今井 匡子 平成23年1月
オホーツクの原野の轍いわし雲 今井 紋子 平成23年1月
木造の神馬一対雁渡し 松谷眞佐子 平成23年1月
鳥装の巫女もろ手挙ぐ秋の天 安田 循子 平成23年1月
川底にじょうろの頭鰯雲 石田加津子 平成22年12月
母と乗る十円木馬鰯雲 岩切 恵子 平成22年12月
二の橋を渡りて遇へり秋の風 東 霊女 平成22年12月
稲妻のたびに列なす海女の墓 横山 冬都 平成22年12月
磐座や三輪の桧原の秋の天 奥田 慶子 平成22年3月
秋の声象のかたちのマグネット 竹下由里子 平成22年3月
海老蔵の睨みのきまる菊日和 佐々 紀代 平成22年2月
潮待ちの港の夜霧常夜灯 廣岡砂予子 平成22年1月
ナプキンの空席ひとつ夕月夜 大西 史子 平成22年1月
秋の日の汐干に散れる片し貝 若林かをる 平成21年12月
秋の日の時に車のドアの音 津子 平成21年2月
箸箱に夜汽車の走る良夜かな 衣川 智代 平成21年2月
鎌倉の時雨を曳いて人力車 藤川 圭子 平成21年2月
兵糧は月明りなり兵馬俑 木村 修 平成21年1月
仕込み歌もれる酒蔵十三夜 林  芳子 平成21年1月
みごもりし赭土の埴輪や雁渡る 植田 信子 平成21年1月
二百十日独身寮のシャワー室 上山 晶子 平成20年12月
いなびかり分厚き海のよこたわる 横山 冬都 平成20年12月
青年の背に生まれる野分かな 植田 信子 平成20年11月
秋天や考える人立ち上がる 木村 修 平成20年2月
仙崖の一円相や芋の露 佐々 紀代 平成20年2月
ポケットに水切りの石秋夕焼 宮川壽美子 平成20年1月
野の宮の黒木の鳥居雁渡し 樋口 進二 平成19年2月
北斎の手鏡美人後の月 松谷眞佐子 平成19年2月
立替の祝儀をつつむ秋の天 志水 つい 平成19年1月
むく鳥の黒い旋回聖樹点く 石井 勝美 平成18年4月
長考の背筋を伸ばす星月夜 菅谷 香苗 平成18年2月
尖塔にぶら下がる月犬吠える 坂本 宣子 平成18年2月
わたし流ポテトサラダや菊日和 瀬山 賎女 平成18年1月
捕はれの噛みつき亀も良夜かな 石川 暘子 平成18年1月
漱石の猫現れる十三夜 松谷眞佐子 平成18年1月
撮影所の郵便ポスト鵙の晴 田村竹次郎 平成18年1月
猫の名をコペルニクスとせし良夜 樋口登代子 平成17年12月
お茶席は月の兎のおもてなし 花坂千江子 平成17年12月
稲妻のことに鋭き赤城山 坂本 宣子 平成17年12月
踏んづけて捕える帽子黍あらし 熊田ひとし 平成17年11月
寿三郎人形と酌む十三夜 本岡 敬子 平成17年2月
秋霖や募金の箱の人の来る 上山 晶子 平成17年2月
月白や蕪村の句碑と淡路島 樋口 進二 平成17年1月
箱好きの猫のねむりにつく良夜 太田 鈴子 平成17年1月
舟屋窓沖へひらきて十三夜 志水 つい 平成17年1月
木曾街道幾姫宮に秋の風 鈴木 茂実 平成16年12月
秋晴れの机の上に立ちにけり 井上美智子 平成16年12月
秋夕焼アヒルを食べておしゃべりに 水田雅吉子 平成16年12月
女優の名持ちし台風倒れ塀 樋口 進二 平成16年11月
村一つ二つ消えたる盆の月 久野 孝子 平成16年11月
ガス欠の鉄のかたまり神渡し 橘 辰男 平成16年3月
イマジンを片手で弾くや秋しぐれ 西田 浩之 平成16年3月
眼鏡置く釣瓶落しの会議室 吉野 静 平成16年2月
月と言う村に大きな月昇る 袴田 雅子 平成16年1月
秋高しシーソー遊びの父と母 植田 信子 平成16年1月
いなづまの甲斐に一筋いくさ道 横山 冬都 平成16年1月
月の出やカフカの虫がキュンと泣く 植田 信子 平成15年12月
煙突は二本だったか秋の風 進藤三千代 平成15年12月
稲光り畳の部屋のシンフォニー 小川 文子 平成15年12月
スリッパで物干場まで銀河まで 植田 信子 平成15年11月
いわし雲魚拓としたる大魚かな 八木 風衣 平成15年2月
天高し親子で迷子しておりぬ 後藤 理勢 平成15年1月
秋晴や夫を一日陽にあてる 水上 栄子 平成15年1月
鉛筆のような少年初嵐 猿田 恭子 平成14年12月
道に出て二階と話す秋日和 平井知志子 平成14年2月
一面に熊笹霧の測候所 吉野 静 平成14年2月
ハンカチが秤にのっている良夜 竹下由里子 平成14年2月
霧の中鶏舎の灯のびており 志水 つい 平成14年2月
颱風や納屋の暗みに鉈吊す 新井  裕 平成14年1月
十三夜母の客いる二階かな 竹内ゆき子 平成14年1月
倒木に脂の漲ぎり秋日和 小川 文子 平成14年1月
見あたらぬ小犬の食器芋嵐 熊田ひとし 平成14年1月
円の中に三人がいて鰯雲 小倉 喜郎 平成13年12月
まだ残る釣餌の臭ひ月出でて 久根 純司 平成13年12月
星月夜山の手線の最後部 金子八重子 平成13年12月
秋光へ開帳されし秘仏かな 尾崎トキ子 平成13年4月
雁渡し駅員ホームの端に佇つ 志水 つい 平成13年3月
直線のつくる曲線雁渡し 小倉 喜郎 平成13年2月
十三夜お能のような歩きして 岡田 克子 平成13年1月
鰯雲魚群探知機始動せり 井上きくを 平成13年1月
秋高し最期の犬に見せる海 宮川壽美子 平成13年1月
秋の天一直線に足伸ばす 阪口 周 平成12年3月
ドナーカードに妻の同意や秋高し 荻野 美保 平成12年2月
マンモスの解凍時間流れ星 山田 京 平成12年2月
秋日和夫が漢字を聞きに来る 植田 信子 平成12年2月
忘れものほどの高さに秋の雲 合田 和子 平成12年2月
こんにゃくといふ字忘れし良夜かな 木村美智子 平成12年2月
ニュータウンの花屋は円形鰯雲 岡田 克子 平成12年1月
アイロンの冷めてゆく音十三夜 石井 勝美 平成12年1月
着しまゝに綻びを縫う良夜かな 岡田勢津子 平成12年1月
霧雨に畳の匂う庵かな 辻  町子 平成11年3月
柿の木に兄を縛っている良夜 新家 保子 平成11年2月
銀漢に羽音魏の国に内乱 溝本 正幸 平成11年2月
秋霖やトイレ出てから又眠る 宮木とよほ 平成11年1月
草の露野の真中に子を置けり 渡辺 淳子 平成11年1月
東塔にはや月を置く仏かな 本岡 敬子 平成11年1月
戻り来し本他人めく秋時雨 篠崎 睦美 平成11年1月
十六夜や義兄の身辺さわがしき 倉持 淑子 平成11年1月
先生の方向音痴天の川 岡田勢津子 平成11年1月
雁渡し大声がしてそれっきり 井上美智子 平成10年12月
月のぼり丘に屍の筋ゆるぶ 袴田比朗士 平成10年11月
台風の近づく予報辛子掻く 竹下由里子 平成10年2月
瀬戸内を飛ぶふくらはぎ雁渡し 石塚さくら 平成10年2月
体重でつぶす紙箱秋日和 河原紀久子 平成10年2月
セロテープの切り口さがす鰯雲 簑島 敬子 平成10年1月
額縁をはみ出して行く鰯雲 竹下由里子 平成10年1月
勉強を見てやると月上りけり 本岡 敬子 平成10年1月
暗がりに貝の舌だす良夜かな 坂本 宣子 平成10年1月
雁渡しホテルは湖へ灯をふやす 志水 つい 平成10年1月
水の辺に人来ては立ち鰯雲 袴田比朗士 平成10年1月
掌を入れてスリッパを買う良夜かな 木村美智子 平成9年3月
いわし雲ホームの外れまで歩く 志水 つい 平成9年3月
秋霖やへらへら笑うダンボール 竹下由里子 平成9年2月
居待月静かに廻る電力計 豊田 幸枝 平成9年1月
鰯雲通りを覗きすぐ戻る 袴田比朗士 平成9年1月
風呂敷に一升瓶や芋名月 山崎冨美子 平成9年1月
銀漢や海につき出る滑走路 高橋 慶子 平成8年12月
洗たくの水うらがえる十三夜 横山 久香 平成8年12月
月の間にふたりが蟹の身をほぐす 横山 冬 平成8年12月
眼鏡橋前夜はげしき稲光 大西 昇月 平成8年9月
はばかりへ先客が立つ秋時雨 本岡 敬子 平成8年2月
空部屋の箒無聊に後の月 中村 弘子 平成8年2月
ささくれた畳の船室雁渡し 木村美智子 平成8年2月
七人の敵の一人と居待月 岡田 珠絵 平成8年2月
歳時記のカバーが出来て十三夜 安田 循子 平成8年1月
猫にやるめしつややかな良夜かな 津嘉山 宏 平成8年1月
親友とよぶ木がありぬ十三夜 植田 信子 平成8年1月
黒板にあしたの日付けいわし雲 井上美智子 平成8年1月
履物を揃えておりぬ天の川 新家 保 平成7年11月
隣室はことりともせず後の月 本岡 敬子 平成7年2月
耳かきの小さな鈴や居待月 池本喜久子 平成7年1月
下足札いろはにほへと良夜なり 熊田ひとし 平成7年1月
とび乗れば阪急電車に十三夜 紀平 節子 平成7年1月
天高し根を張る杭を父という 溝本まさゆき 平成7年1月
椅子の背にネクタイかかる十三夜 山崎冨美子 平成7年1月
赤飯の包みほこほこ雁渡し 山崎冨美子 平成7年1月


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