作 品 作 者 玄鳥掲載

秋の蚊を叩いてよりのひとりかな 岡部 榮一 平成23年11月
小津安二郎の三和土の色に秋刀魚焼く 岡部 榮一 平成21年11月
かなかなや望遠鏡で聞く汽笛 岡部 榮一 平成21年10月

広い宇宙のこの星に生れいぼむしり 土肥 幸弘 平成21年12月
公園にまだゐる今朝の穴まどひ 土肥 幸弘 平成20年11月
無いはずの歯の痛みたり螽? 土肥 幸弘 平成20年11月
フレミングの右手の法則鳥渡る 土肥 幸弘 平成19年11月
ランボーに顎のせ眠る秋の猫 土肥 幸弘 平成20年10月
銃口の中の渦から鷹柱 土肥 幸弘 平成19年11月
残る蚊に一揆の力髭祠跡(庄川吟行) 土肥 幸弘 平成18年11月
義仲寺のしぶとき残り蚊討ちもらす 土肥 幸弘 平成17年11月
鵙の貌並ぶ吊革都心晴 土肥 幸弘 平成17年10月
一葉の札にも慣れて秋刀魚買ふ 土肥 幸弘 平成17年9月
能舞台の床下の甕ちちろ虫 土肥 幸弘 平成16年11月
第九宇宙基地の私室の月鈴子 土肥 幸弘 平成15年11月
電柱に貼紙禁止鳥渡る 土肥 幸弘 平成15年1月
流刑小屋にひしめく背鰭秋の昼 土肥 幸弘 平成14年11月
結び目のなかなか解けず穴まどひ 土肥 幸弘 平成14年11月
ひぐらしや少したるみし命綱 土肥 幸弘 平成14年11月
鳥渡る海に飽きたる一羽ゐて 土肥 幸弘 平成14年11月
わが祖は鯊にて深川好みかな 土肥 幸弘 平成14年11月
木を抱いてかなかなかなと鳴く父よ 土肥 幸弘 平成13年11月
石垣も哀史もなくて昼の虫 土肥 幸弘 平成13年11月
傾きて曲がる氷見線鳥渡る 土肥 幸弘 平成11年12月
ひぐらしや切絵の街の風見鶏 土肥 幸弘 平成11年11月
さんま定食よく売れ壁にみつをの書 土肥 幸弘 平成11年11月
火の窯に金色の闇ちちろ虫 土肥 幸弘 平成16年11月
ビルにある千のパソコン鳥渡る 土肥 幸弘 平成11年1月
椅子少し倒し過ぎたり鵙の天 土肥 幸弘 平成11年1月
針金も束子もオブジェ鵙の晴 土肥 幸弘 平成11年1月
妻のため不器量な鯊買って来し 土肥 幸弘 平成10年12月
潮さびの老いの低唱鳥渡る 土肥 幸弘 平成10年12月
糶済みし漁業組合昼の虫 土肥 幸弘 平成10年12月
ちちろ虫先に戻りて鳴いてゐし 土肥 幸弘 平成10年11月
あばら骨も貝殻骨も下り鮎 土肥 幸弘 平成10年1月
雁の夜の絡めば骨となる腕 土肥 幸弘 平成10年1月
落鮎に仲居の笑ひ声ひびく 土肥 幸弘 平成9年12月
螻蛄の世を蚯蚓に先に鳴かれたる 土肥 幸弘 平成9年11月
品書きの壁に執心秋の蠅 土肥 幸弘 平成9年11月
つくつく法師翔つ鳴き声となつてゐし 土肥 幸弘 平成9年11月
螻蛄の世を蚯蚓に先に鳴かれたる 土肥 幸弘 平成9年11月
乾きたる風呂場のタイル昼の虫 土肥 幸弘 平成9年1月
鵙日和尻から椅子が抜けぬなり 土肥 幸弘 平成8年1月
辨当がかすかに匂ふ鵙日和 土肥 幸弘 平成7年1月

鵙高音それより空の引き締まる 石川 暘子 平成24年2月
遊覧船一番乗りは秋の蠅 橋垣 敏子 平成24年1月
独り言多くなりけり菜虫取る 宮下久美子 平成24年1月
小鳥来る流人の島の玉石垣 宮下久美子 平成23年12月
透き通りそうな馬から肥えにけり 木村 修 平成23年12月
十月のスイッチ押して鳰あそぶ 西田 光男 平成23年2月
さそはれて蛇穴に入る間際かな 橘 辰男 平成23年2月
安部球場の軍靴の音鳥わたる 田中とき子 平成23年1月
跪く男の群像虫しぐれ 堀井 国乃 平成22年12月
纜を遊ばす鵙の日和かな 新保 吉章 平成22年2月
鳥渡る原生林は魚育て 石川 暘子 平成22年2月
築城の縄張り図面昼の虫 橘 辰男 平成22年2月
鉋屑くるりと出でて小鳥来る 木村 修 平成22年2月
雁渡る十円切手のラブレター 三島 章子 平成22年1月
昼時の神田鍛冶町焼き秋刀魚 小池紀代美 平成22年1月
唐臼の土搗く音やちちろ虫 佐々 紀代 平成21年12月
かなかなやからのリフトがかえりくる 森内 洋子 平成21年12月
残る蚊の小声でイヴと名乗りたる 石川 暘子 平成21年12月
校庭の大きな時計赤とんぼ 宮下久美子 平成21年11月
山積のかき殻乾く島の昼 小川 文子 平成21年4月
少年の肩に月光小鳥の死 橘 辰男 平成21年2月
国宝のなまずが浮いて秋と言う 安田 循子 平成21年2月
男子寮秋刀魚の煙大げさに 竹内ゆき子 平成21年1月
能登岬風を選びて秋の鷹 豊田 幸枝 平成21年1月
ぶら下がりつづける遊び鳥渡る 安田 循子 平成21年1月
仮免の車の列や赤とんぼ 宮下久美子 平成20年12月
黄鶲の鳴く蝉丸の山祠 下野 栄子 平成20年10月
雁渡る空の凹んでをりしかな 井上きくを 平成20年3月
寝る前の熱き牛乳虫嗄るる 石川 暘子 平成20年2月
さりげなく譲られし席小鳥くる 横山 久香 平成20年2月
柔らかな軽い小包み小鳥来る 岩切 恵子 平成20年1月
玉垣に函館とあり鳥渡る 廣瀬 清美 平成20年1月
突堤の赤いジャンパー鯊日和 瀬山 賤女 平成20年1月
下諏訪のオルゴール館鳥渡る 鈴木 令子 平成20年1月
ちちろ虫上がり框の一斗枡 松谷眞佐子 平成20年1月
水色のファーストシューズ小鳥くる 大西 史子 平成20年1月
消印は灯台の町秋茜 石川 暘子 平成19年12月
糸とんぼ老眼鏡をかすめけり 桑原 國 平成19年11月
千年の瓦のかけら穴惑ひ 橘高 辰男 平成19年4月
高階の永きくらしの秋鰹 窪本 正行 平成19年1月
鳥渡る母の遺せしパスポート 鈴木 令子 平成19年1月
耳一つ残して去りしちちろ虫 横山 冬都 平成19年1月
田仕事の空よりあふれ赤とんぼ 水田マンボウ 平成18年12月
秋の蝶行方知れずの恋仇 瀬山 賎女 平成18年12月
落鮎や磨きぬかれた長火鉢 豊田 幸枝 平成18年11月
立石寺の力こんにゃく鳥渡る 伊藤 保子 平成18年2月
学食のトレイに受けし焼秋刀魚 樋口 進二 平成18年2月
秋の蚊が夫を越えて刺しに来る 太田 まさ 平成18年2月
絵本館のパソコン教室小鳥くる 松谷眞佐子 平成18年2月
秋の蚊のすかさず唐招提寺裏 安田 循子 平成18年2月
厨にも母見当たらず昼ちちろ 三島 章子 平成18年2月
電球に灯りし恋や鶫来る 津子 平成18年1月
よくしゃべる人とさんまが通りけり 横山 久香 平成18年1月
落鮎やゲノムに星の降る記憶 水田雅吉子 平成17年12月
ひぐらしや空き家も牛乳箱も古る 水田マンボウ 平成17年11月
刀身のごとき反の身に蜻蛉生る 鈴木 茂実 平成17年11月
鵙の天運動場の拡声器 松原 勇 平成17年3月
小鳥来る珈琲豆を変えてより 石川 暘子 平成17年2月
色鳥や芸人多き裏長屋 鈴木 令子 平成17年2月
裏庭を挟む二世帯小鳥くる 阪口 周 平成17年2月
亡き夫の運勢欄や初秋刀魚 野間 成子 平成17年1月
奥様に牧師叱られ昼の虫 出 日 人 平成17年1月
テーブルの下に瓦斯栓渡り鳥 竹中小夜子 平成17年1月
色鳥や今日のネクタイ妻好み 阪口 周 平成17年1月
寛永寺の秋蚊将軍より強し 若林 千尋 平成17年1月
元町の上海テーラー雁渡る 樋口 進二 平成16年12月
煎餅に飽きたる鹿の糞ならん 本岡 敬子 平成16年12月
それ球を返せぬフェンス鵙鳴けり 大倉 操 平成16年2月
雁くるや如意の渡しに客ひとり 松下ナミ子 平成16年2月
地下深く駅交さして昼ちちろ 鎌坂 銀狼 平成16年1月
日本一長き名の宮小鳥くる 阪口 周 平成16年1月
かまきりの貌をしみじみ天守閣 堀井 国乃 平成16年1月
海に出て秋蝶すぐに戻りくる 鎌坂 銀狼 平成15年12月
仰向きの虫を横目に水を飲む 桐生 俊明 平成15年9月
鮭跳ねてはららご簗にこぼしけり 長谷川純彦 平成15年4月
チョコレートついた手の平小鳥来る 出 日 人 平成15年3月
鵙日和確かめている空気圧 小倉 喜郎 平成15年2月
江戸前の鯊とやどっと日が暮れる 太田 鈴子 平成15年2月
蓑虫に心中者の行方聞く 新井 裕 平成15年1月
秋の蝿殺虫剤へ止りけり 佐々木江美子 平成15年1月
ひぐらしや寺町つなぐ坂八つ 志水 つい 平成14年12月
日曜の空の広さや鳥わたる 志水 つい 平成14年4月
卵めく野外彫刻鵙の天 竹下由里子 平成14年3月
蟷螂に似る酒呑みの喉ぼとけ 盛野 成信 平成14年2月
ダイバーのボンベ整列鳥渡る 井出 栄子 平成14年2月
新道の幅のひろさや秋の蝶 佐藤とし子 平成14年1月
「現在地」の赤い矢印昼の虫 西田由紀子 平成14年1月
不揃いの枕木の塀鳥渡る 田村竹次郎 平成14年1月
煙出ぬ魚焼器のさんまかな 永岡 小枝 平成14年1月
劇場も最高裁もちちろの夜 横山 冬都 平成14年1月
鳥渡る忍びの村の何でも屋 安田 循子 平成13年12月
鬼ヤンマくわえて八雲邸の猫 植田 信子 平成13年12月
かなかなや目明しのごと路地の猫 跡治 順子 平成13年12月
刺虫や梯子を落ちた大男 榎本 太郎 平成13年2月
鵙のにえ大きな空の下にかな 横山 久香 平成13年2月
自転車をとんぼに借りる日和かな 井上きくを 平成13年2月
虫鳴くや小黒板に赤い文字 袴田 雅子 平成13年1月
風呂敷の結び目ほどく鵙の天 竹下由里子 平成13年1月
かりがねやポケットという応接間 岡田美佐枝 平成13年1月
ちちろ鳴くラッパのマークの正露丸 三木美沙子 平成12年12月
大橋の長い綱索鳥渡る 長谷川純彦 平成12年8月
アイロンに残るぬくもり昼ちちろ 竹内ゆき子 平成12年2月
指切になまじの力昼の虫 本岡 敬子 平成12年2月
校長の腕立て伏せや鵙日和 小川 文子 平成12年2月
算術の一つが解けて鵙の天 横山 冬都 平成12年2月
父という一枚硝子鵙の天 本岡 敬子 平成12年1月
妻にだけ聞えて庭の法師蝉 永岡 小枝 平成12年1月
邯鄲の止みて隣家の点りけり 久根 純司 平成12年1月
鵙の天一拍おいて切符でる 伊藤 保子 平成11年4月
鵙の天骨の匂いの木を焚ける 木村美智子 平成11年3月
祇王祇女その生国の赤とんぼ 斉藤志げ子 平成11年2月
雁渡るソーラーパネル百万枚 篠崎 睦美 平成11年2月
赤んぼのつむじつんつん鵙日和 木村美智子 平成11年2月
スリッパの足らぬ見学鵙日和 志水 つい 平成11年2月
流し台の下の缶詰ちちろ虫 阪口 周 平成11年1月
大鍋に具がたっぷりと鵙日和 新家 保子 平成11年1月
かなかなやすぐ横に建つケアホーム 高橋 慶子 平成10年12月
秋の蠅握りこぶしの中にゐし 熊田ひとし 平成10年1月
蜻蛉や木に立てかける空気入れ 坂本 宣子 平成9年12月
水に沈む豆腐の屑や夕かなかな 山崎冨美子 平成9年11月
美容院でて蓑虫に触れられし 東  霊女 平成9年2月
鵙高し研ぎ屋が座る土の窪 桐生 俊明 平成9年2月
霊園のバスの相客秋あかね 本岡 敬子 平成9年1月
色鳥や昼の二階の焼け落ちて 木村美智子 平成9年1月
秋の蝿フェリーボートの大広間 中村 子鶯 平成9年1月
座布団を重ねて置けば虫が鳴く 竹内ゆき子 平成8年12月
夕暮の電車の上を鳥渡る 酒井 美智 平成8年2月
砂利船の吃水深し秋燕 井上きくを 平成8年1月
魂のまだ抜けきらず鵙の贄 横山 冬都 平成8年1月
狂う日の両手つく地や秋の蝶 植田 信子 平成7年12月
法師蝉地上只今工事中 池本キクコ 平成7年11月
鵙の贄宙に跳ねたるうしろ足 志水 つい 平成7年6月
発掘の井戸の石組み雁渡る 井出 栄子 平成7年4月
かまきりは狐のごとき所作をする 中村 子鶯 平成7年2月
雁渡る日本武尊の唇赤し 溝本まさゆき 平成7年2月
ちりめんの座布団に顎鳥渡る 跡治 順子 平成7年2月
穴まどい我と出会いてまたまどう 長谷川芳子 平成7年1月


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